ゼロ炭素ポート

企業のCO2削減に関する補助金|受け取る際のポイントや手順も紹介

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年02月14日

現在、会社全体の炭素排出量削減の計画測定をしており、CO2削減対策を始める際に補助金があれば利用したいと考えている人もいるでしょう。 

本記事では、企業のCO2削減に活用できる補助金について詳しく解説します。補助金の利用手順や、利用する際のポイントについても解説するため、ぜひ参考にしてください。 

日本は2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指している 

2015年、気候変動問題の解決に向けてパリ協定が合意されました。現在では、世界中の国々が、CO2を含む温室効果ガスの削減に取り組んでいます。日本政府も、2050年までにカーボンニュートラルを実現しようと、さまざまな取り組みをしています。 

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることです。実現のためには、温室効果ガスの排出量削減だけでなく、吸収作用の保全・強化も必要です。 

企業のCO2削減を推進するために政府は補助金を用意している 

カーボンニュートラルの実現は、官民一体となって取り組むことが重要です。日本では、経済産業省や環境省が主軸となって、補助金を含む、さまざまな支援制度を用意しています。また、地方自治体でも補助金を提供している場合があります。 

CO2削減に関する補助金を受け取る手順 

自社のCO2削減の取り組みに補助金が利用できる場合、どのような手順で申請すればよいのかを解説します。 

1.準備 

まずは、自社の事業に合った補助金制度がないか探してみましょう。補助金は各制度ごとに目的や仕組み、要件が異なるため、詳細まで情報を集めておきます。申請に必要なアカウントや認定制度がある場合は、あらかじめ取得しておきます。また、納税証明書や決算書など、申請に必要になりそうな書類も用意しておいてください。 

2.申請 

事前準備が完了したら公募申請をします。補助金は、申請書類に不備があるとスムーズに手続きが進みません。記入ミスや記入モレがないように、公募要領を確認しながら事業計画書を作成します。なお、事業計画書に記載する項目は、箇条書きで簡潔に記すとよいでしょう。 

申請に必要な書類も忘れずに添付し、必要な書類の記載や用意が終わったら担当部署に提出します。なお、提出方法は、電子申請や郵送など、制度によって異なります。提出方法についても事前に確認しておきましょう。 

3.審査 

書類を提出すると、補助金を受けられるかの審査が始まります。 

補助金の審査では、提出書類の不備の確認に加えて、事業計画の内容も確認されます。具体性のない事業計画や、実施が現実的でない事業計画の場合は、審査を通過できない可能性もあるため、事業計画段階で細かく決めておくようにしましょう。なお、事業計画の策定が難しい場合は、専門家への相談もおすすめです。 

申請内容が補助金の審査を通過したら、事務局から通知が届きます。送られてくるものは、審査結果の通知書や交付規程などです。 

4.交付申請 

補助金によっては、審査を通過した後に交付申請が必要なケースもあります。その場合には、申請手続きをしないと、交付が決定しません。また、交付決定の前に、事業のために必要な契約や購入をした場合、その分の経費は補助金の対象とならないため注意が必要です。 

交付申請が必要な場合は、審査を通過したあとに届く書類のなかに、交付に関する決定通知書や申請書が入っています。それらをもとに必要書類を提出して、交付のための審査を受けましょう。審査を通過すると、交付決定通知書が送られてきます。 

5.実施 

交付が決定した日から、事業を始められます。事業計画に沿って、期間内に事業におけるすべての工程を完了しましょう。事業に関する証憑書類は、事業完了後に必要になるため、必ず保管しておいてください。なお、実施の過程で事業計画を変更しなければならなくなった場合には、計画変更申請が必要です。 

6.交付 

事業が完了したら、実績報告書を提出しなければいけません。実績報告書の提出には、実施段階における経費の証憑書類が必要です。証憑書類がない経費に関しては、補助金が給付されない場合があるため、気をつけましょう。 

実績報告書を提出したあとは、補助金事務局が内容を確認し、問題なければ補助金額決定通知が送付されます。その後、請求書を提出すると、1か月以内に銀行口座に振り込まれます。なお、領収書や証拠書類は、事業が終わったあとも5年間は保管しなければいけません。 

経済産業省のCO2削減に関する補助金 

経済産業省が実施する、CO2削減に関する補助金には以下のものがあります。 

IT導入補助金 

IT導入補助金とは、経済産業省が管轄する中小企業庁による補助で、CO2の排出量やエネルギー使用量などを可視化するシステムの導入に使える補助金です。補助額は、1プロセス以上の場合で5~150万円未満、4プロセス以上の場合では150~450万円以下(業務プロセス、共通プロセス、汎用プロセスなどがある)で、補助率1/2以内とされています。 

ものづくり補助金 

ものづくり補助金は、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、実行計画が策定されている14分野の課題解決のために、用意されたものです。DXやGXなどに、役立つ製品やサービスの開発に使える補助金です。 

スタンダード類型の場合、補助額は従業員数が5人以下で1,000万円、6~20人で1,500万円、21人以上では2,500万円未満とされ、補助率は2/3です。 

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金は、工場やオフィスの設備をより省エネ性能の高い製品へ更新する際に使える補助金です。 

補助額は、先進設備・システムの導入やオーダーメイド型設備の導入の場合は、100万円~15億円です。また、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備などの導入の場合は、30万円~3億円、EMS機器の導入の場合は100万円~1億円です。補助率は内容によって異なり、2/3以内もしくは1/2以内とされています。 

クリーンエネルギー自動車導入促進補助金 

クリーンエネルギー自動車導入促進補助金は、電気自動車や燃料電池自動車などを社用車として導入する際に使える補助金で、車両リース企業も利用できる制度です。 

車を購入した者が補助対象となり、補助額は車の種類によって異なります。 

EV  85万円 
軽EV  55万円 
PHEV  55万円 
FCV  255万円 

需要家主導型太陽光発電導入支援事業の補助金 

需要家主導型太陽光発電導入支援事業の補助金は、電力を必要とする特定の相手に売電することを目的として太陽光発電を導入する際に使える補助金です。特定の需要家に電気を供給するために、新たに太陽光発電設備を設置・所有する者が対象となります。なお、補助率は自治体連携型の場合2/3、それ以外の場合は1/2です。 

事業再構築補助金 

事業再構築補助金は、事業再構築補助金のGX進出類型が利用できる補助制度です。グリーン成長戦略に示された実行計画14分野が対象で、課題解決のための取り組みに使えます。 

補助額は、企業規模(従業員数)によって異なり3,000万円~1億円とされ、補助率は中小企業の場合1/2、中堅企業の場合1/3が基本です。なお、事業終了後3~5年で給与支給総額を、年平均成長率2%以上増加させることなどの申請要件があります。 

環境省のCO2削減に関する補助金 

環境省が実施する、CO2削減に関する補助金には以下のものがあります。 

SHIFT事業の補助金 

「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)」の補助金は、脱炭素化に向けたさまざまな取り組みに使える補助金です。CO2削減目標が盛り込まれている事業計画を基に、省エネ機器の導入や運用改善を実施し、CO2削減に取り組む事業に対して補助金を交付します。 

補助額の上限は、CO2削減計画を策定する事業者の場合は50~100万円で、補助率は3/4です。省CO2型設備を更新する事業者の場合は5億円(設備によって異なる)が上限で、補助率は1/3です。 

脱炭素社会の構築に向けたESGリース促進事業の補助金 

「脱炭素社会の構築に向けたESGリース促進事業の補助金」は、一定の基準を満たした脱炭素機器をリースする際に使える補助金です。この制度では、環境省の基準を満たす脱炭素機器をリースする際に、リース料金の一定割合が補助されます。補助率は、ESGに関する目標を設定して公表している場合、基準補助率に1%上乗せした金額です。 

ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業の補助金 

「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業の補助金」とは、自家消費型太陽光発電設備や、蓄電池の導入に使える補助金です。 

対象になるのは、民間企業などによる再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業のうち、ストレージパリティの達成に向けた、太陽光発電設備などの価格低減促進事業です。補助額は、太陽光発電設備の導入の場合、1キロワットにつき4~7万円とされています。 

業務用建築物の脱炭素改修加速化事業 

「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業」は、既存の建築物を省CO2改修する場合、外皮の高断熱化や空調の導入に使える補助金です。 

既存の業務用建物のうち、改修後の外皮性能BPIが1.0以下となっている、一次エネルギー消費量が省エネルギー基準から用途に応じて30%または、40%程度以上削減されるといった条件を満たす場合に補助金の対象となります。補助上限額は、建物により異なりますが、最大で年間5億円とされています。 

国土交通省のCO2削減に関する補助金 

国土交通省が実施する、CO2削減に関する補助金には以下のものがあります。 

グリーンスローモビリティ導入促進事業の補助金 

「グリーンスローモビリティ導入促進事業の補助金」は、再生可能エネルギーと組み合わせた新しい地域モビリティの導入を支援する施策で、対象車両を導入する際に利用できる補助金です。民間企業だけでなく、地方公共団体も申請対象です。導入台数1台当たり300万円を上限とし、車両等導入費用の1/2が補助されます。 

既存建築物省エネ化推進事業の補助金 

「既存建築物省エネ化推進事業の補助金」は、20%以上の省エネ効果を期待できる改修工事に対して使える補助金です。オフィスビルなどを省エネルギー化する改修工事に提供されます。補助額は、1件当たり5,000万円(設備改修に係る補助限度額は、2,500万円まで)を上限とし、費用の1/3が補助の対象になります。 

自動車環境総合改善対策費補助金 

「自動車環境総合改善対策費補助金」は、電動車の導入に使える補助金で、新車新規登録等された「電気バス」や「充電設備(事業用の電気バスのみに使用するものに限る)」が対象になります。補助率は、電気バスの場合は車両本体価格の1/3、充電設備では導入費用の1/2(ただし、充電装置のみの導入の場合は1/4)です。 

その他のCO2削減に関する補助金 

上記の他にもCO2削減に関する補助金があるため、一例を紹介します。 

金融機関のCO2削減に関する補助金 

こちらは融資となりますが、日本政策金融公庫は、環境・エネルギー対策資金を用意しています。主な3つの分野には、非化石エネルギー関連(国民生活事業・中小企業事業)、GX関連(国民生活事業)、省エネ設備関連(中小企業事業)があります。なお、融資の限度額は、いずれも直接貸付の場合7億2,000万円、代理貸付の場合1億2,000万円です。 

自治体のCO2削減に関する補助金 

政府だけでなく、都道府県や市単位でも、CO2削減に関する補助金を用意している場合があります。自社が所在する自治体が、CO2削減に関してどのような補助金を交付しているか、確認し、該当のものがあれば申請して利用しましょう。 

CO2削減に関する補助金を利用する際のポイント 

 自社でのCO2削減対策に補助金を利用する際は、次のポイントに気をつけて進めるようにしましょう。 

申請は時間に余裕をもって進める 

補助金の申請は必要な書類が多く、申請手続きを進めるのには時間と労力がかかり、場合によっては、何週間も時間がかかる場合もあります。また、補助金の申請には期限が設けられているケースが多くあります。申請期限に間に合うよう、申請手続きは計画的に進めるとよいでしょう。 

不要な投資ではないか確認する 

補助金を利用できるとなると、投資に対する意識のハードルが下がり、不要な投資に資金を投入してしまうリスクがあります。結果的に、事業の継続が困難になってしまうケースも考えられるため、補助金を利用するかどうかは、補助金がなくても実施したいかどうかで判断するようにしましょう。 

まとめ 

現在、世界中で地球温暖化を食い止めるために、CO2削減の対策が取られています。日本でも政府が中心となって取り組んでおり、企業がCO2削減に取り組むための支援制度として補助金の支給もされています。自社の事業や取り組みに該当する補助金がある場合は、ぜひ利用を検討してみてください。 

また、自社でCO2削減の取り組みを始める際は、東京ガスの「ゼロ炭素ポート」もご活用ください。ゼロ炭素ポートは、脱炭素の情報を発信しているだけでなく、“脱炭素の未来をつくる方々”のお困りごとを気軽に相談できる「場」になることを目指しています。 

サイトでは、知りたい情報をキーワード検索できるほか、コラムCO2排出量計算ツールを活用し、自社に必要な情報を収集できます。また、脱炭素・カーボンニュートラルに関するご相談も、お気軽にお寄せください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA