ゼロ炭素ポート

企業が目指すべきCO2の削減目標とは?取り組む際の課題についても解説

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年02月14日

地球温暖化対策として、CO2削減は世界中の企業にとって避けられない課題となっております。そのため、CO2排出量の削減に向けて、世界中の国や企業で取り組みが行われています。 

この記事では、CO2排出量の目標や取り組むメリットなどについて解説します。脱炭素社会の実現に向けて一歩踏み出したい人は、参考にしてください。 

CO2削減目標とは 

CO2削減目標とは、地球温暖化の進行を抑制し、持続可能な社会を実現するために設定された国際的な目標です。この目標は、2015年に採択されたパリ協定で定められました。パリ協定は、産業革命以前の水準と比較して、世界の平均気温上昇を2℃より低く抑えること、さらに1.5℃に抑える努力をするという目標を掲げています。 

この目標を達成するために、各国がそれぞれ削減目標を設定し、具体的な行動計画を実施しています。 

パリ協定によって定められた目標の例

ここでは、パリ協定によって定められた目標の例を紹介します。 

アメリカ 

アメリカは、2050年に2005年比でCO2の80%削減を目標として掲げています。具体的な動きの例としては、再生エネルギーの活用が挙げられます。再生エネルギーの導入による、火力発電からの脱却を目標としました。 

カナダ

カナダは、2050年に2005年比でCO2の80%削減が目標です。この目標を実現するために、排熱の利用を推し進め、エネルギー効率アップを図っています。また、リサイクルの推進も積極的に行うことを目指しています。 

フランス 

フランスは、2050年に1990年比でCO2の70%削減が目標です。国内におけるCO2排出量の上限値(カーボンバジェット)を設定し、各部門に排出量を意識させるなどの取り組みを行っています。 

日本のCO2削減目標 

日本は、2050年までにCO2排出を実質ゼロにすることを目指しています。この目標は、カーボンニュートラル社会の実現するために設定されました。そのうえで、2030年の中間目標として、2013年度比で46%の削減を掲げています。 

CO2削減目標を掲げる企業も 

日本国内では、CO2削減目標を自ら設定し、公開する企業も増えています。これらの企業は、持続可能な社会の実現に向け、自社の取り組みを通して社会的責任を果たそうとしています。 

また、政府が導入している温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度により、特定の企業には温室効果ガスの排出量を算定し、報告および公表する義務が設けられました。 

CO2削減が必要な理由 

CO2削減が必要とされる理由は、地球温暖化が深刻化しているためです。CO2を含む温室効果ガスの排出が増加することで、地球全体の平均気温が上昇しており、多くの問題を引き起こしています。具体的には、海面上昇や異常気象の頻発、疫病の発生などが挙げられ、人々の生活や経済、環境に深刻な影響を与えています。 

政府と企業が一体になって進める取り組み 

日本では、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目標に、政府と企業が一体となるために取り組みが進められています。たとえば、政府は再生可能エネルギーの導入を促進するための補助金の支出や法整備を進めることで、企業の取り組みを支援しています。政府と企業の連携が、目標達成に向けた重要ポイントとなるでしょう。 

日本政府によるCO2削減の取り組み 

ここでは、日本政府によるCO2削減の取り組みについて解説します。 

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略は、経済と環境の好循環を創出する産業政策として位置付けられています。この戦略では、企業の活動をサポートすることで脱炭素社会の推進を図っています。 

対象となる14の分野は、以下のとおりです。 

【エネルギー関連産業】 

・洋上風力、太陽光、地熱 
・水素・燃料アンモニア 
・次世代熱エネルギー 
・原子力 

【輸送・製造関連産業】 

・自動車、蓄電池 
・半導体、情報通信 
・船舶 
・物流、人流、土木インフラ 
・食料・農林水産業 
・航空機 
・カーボンリサイクル・マテリアル 

【家庭・オフィス関連産業】 

・住宅、建築物、次世代電力マネジメント 
・資源循環関連 
・ライフスタイル関連 

地域脱炭素ロードマップ 

地域脱炭素ロードマップは、地域ごとに2030年までの具体的な脱炭素施策をまとめた計画です。このロードマップは、第1ステップと第2ステップに分けられます。 

・第1ステップ:全国に少なくとも100か所の「脱炭素先行地域」を設け、地域の特性に応じて、脱炭素に向けた取り組みを推進する 
・第2ステップ:脱炭素に向けた重要な対策を全国で展開する 

世界的なCO2削減の取り組み 

ここでは、世界的に行われているCO2削減の取り組みについて解説します。 

RE100 

RE100は「Renewable Energy 100%」の略称で、事業活動に必要な電力を再生可能エネルギーで100%賄うことを目指す国際的なイニシアチブです。企業が再生可能エネルギーの利用を推進することで、温室効果ガス排出量の削減を目指します。日本では、2018年6月に環境省がRE100のアンバサダーとなり、国内企業の参加を促しています。 

TCFD 

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)は、企業が気候変動に対してどのように取り組んでいるかを情報開示によって示すことを求める国際的な枠組みです。情報開示によって、企業の取り組みを投資家やステークホルダーが知ることで、ESG投資に値するか否かなどを図れます。 

EP100 

EP100は「100% Energy Productivity」の略称で、企業が事業活動におけるエネルギー効率の向上を目指す取り組みです。このイニシアチブでは、省エネ技術の導入や効率的なエネルギー活用を推進することで、エネルギーコスト削減を目指しています。 

CO2削減に取り組むメリット 

ここでは、CO2削減に取り組むメリットについて解説します。 

SDGsに貢献できる 

CO2削減に取り組むことは、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献を示すチャンスとなります。目標13「気候変動に具体的な対策を」を達成するための取り組みを行えば、環境問題に配慮する企業としての姿勢を顧客や取引先にアピール可能です。ひいては、イメージアップや信頼の向上につながるでしょう。 

コストを抑えられる 

CO2削減に取り組むメリットは、コストを抑えられる点です。省エネ機器や創エネ機器を導入すれば電力使用量を抑えられるため、電力会社から購入する電気の量を減らせます。その結果、光熱費の削減を実現できるでしょう。さらに、将来的に導入が予想される炭素税への対応にも有効です。CO2の排出量が減れば、支払う税金を抑えられます。 

リスクを回避できる 

CO2削減に取り組むメリットは、将来的なリスクを回避できる点です。地球温暖化が進行すると生態系が破壊され、その影響によって原材料の調達が難しくなる可能性があります。環境を守る取り組みは、こうしたリスクを軽減し、事業継続の可能性を高めることにつながります。 

CO2を削減する方法 

ここでは、CO2を削減する方法について解説します。 

創エネ・再エネ設備を導入する 

CO2を削減する方法は、創エネ・再エネ設備の導入です。LEDや太陽光発電システムを導入することで、電力使用量を削減し、CO2排出を抑えられます。また、外部から購入する電力を減らせるため、電気料金が高騰してもコストの上昇を抑えられます。初期投資が必要ですが、長期的には経済的なメリットが期待できます。 

カーボンオフセットを活用する 

CO2を削減する方法は、カーボンオフセットの活用です。カーボンオフセットとは、事業活動や生活で排出したCO2を、別の形で埋め合わせる仕組みです。たとえば、植林活動をすることで排出したCO2を相殺できます。これにより、直接的な排出削減が足りない場合でも、間接的にCO2削減に貢献可能です。 

従業員に教育を施す 

CO2を削減する方法としては、従業員に環境に対する教育を施すことも効果的です。環境に関する研修などを行い、従業員のリテラシーを高めるよう努めましょう。加えて、電気をこまめに消す、エアコンの設定温度を調整するなどの日常的な取り組みも欠かせません。 

企業によるCO2削減の取り組み 

ここでは、企業によるCO2削減の取り組みを紹介します。 

アドビ 

アドビ(Adobe)は、2030年の再生可能エネルギーの100%移行を目指し、さまざまな取り組みを行っています。具体的には、シリコンバレーに建築中の「ノースタワー」を100%オール電化ビルとし、環境を守るようプロジェクトを進めています。また、2035年を目標として、自社の消費エネルギーを再生可能エネルギーのみにする計画も立てました。 

オムロン 

オムロンは、脱炭素化とエネルギーの最適化を目指しています。CO2排出量を減らす取り組みとしては、現場データ活用サービス「i-BELT」のリリースが挙げられます。i-BELTを企業が導入することで、よりエネルギーを効率的に使える体制が整います。 

丸井グループ 

丸井グループは、2030年までに2014年3月期比で46%の温室効果ガス削減を目標としています。この目標を達成するため、店舗における照明や空調の見直し・高効率化を行っています。 

また、省エネ設備や蓄電設備の導入も積極的に実施し、電気使用量の削減を図っている点が取り組みの特徴です。 

ジョンソン・エンド・ジョンソン 

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、環境への取り組みを推し進めている会社です。同社は日本国内にも拠点を持っており、一部の拠点で100%のグリーン電力利用に成功しました。そのほかにも、使用エネルギーを削減するために残業で使える部屋を制限するなどの取り組みを行っています。 

村田製作所 

村田製作所は、環境製品の開発や温室効果ガスの削減に取り組んでいる会社です。たとえば、製品を開発する際には、設計から生産、廃棄にいたるまで、すべての過程で環境の負荷を抑えられるよう工夫を行っています。また、温室効果ガス排出量削減にあたって、削減の目標値を具体的にしたうえで事業運営を行っています。 

CO2削減に取り組む際の課題 

ここでは、CO2削減に取り組む際の課題について解説します。 

CO2の排出量を把握しにくい 

CO2削減を進めるうえでは、排出量の正確な把握が重要ですが、この点がハードルとなっています。排出量を算定するには、専門的なノウハウや計算方法の理解が必要であるため、慣れなければ進行が難しいでしょう。また、算定や分析を担当する専門人材の確保が難しいことも、企業にとっての大きな壁となっています。 

多くのコストがかかる 

CO2削減のためには、初期投資が必要な場合があります。たとえば、省エネ設備や太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー設備の導入には多額の費用がかかるでしょう。また、排出量を相殺するために購入するカーボンクレジットにも費用が発生します。 

まとめ 

地球規模で進む気候変動への対応は、もはや企業にとっても避けて通れない課題となっています。持続可能な社会を実現するために、CO2削減への積極的な取り組みを始めましょう。 

環境に配慮した取り組みを進めたいなら、「ゼロ炭素ポート」をご活用ください。自社のCO2排出量を計算可能であるため、排出量に応じた具体的な施策が打てるようになります。詳細が気になる人は、ぜひお問い合わせください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA