カーボンニュートラルとは、企業や国家が二酸化炭素(CO2)を排出することなく、排出されたCO2と同じ量のCO2を削減、もしくは除去することを目指す状態のことです。森林はカーボンニュートラルの達成において重要な役割を果たすといわれています。本記事では、カーボンニュートラルと森林の関係について詳しく解説するため、参考にしてください。
カーボンニュートラルとは、国家や企業が二酸化炭素(CO2)の排出をなくして、排出されたCO2と同量のCO2を削減、または除去することを目指す状態です。カーボンニュートラルの実現において、森林は重要な役割を果たしています。
森林は、光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を放出するという働きをします。大気中のCO2を減少させることができるため、森林の保護や再生に尽力することはカーボンニュートラルにおいて重要な要素です。
カーボンニュートラルとは、一般的には「CO2排出量をゼロにする」という意味で使われます。しかし、実際には完全にCO2排出量をゼロにすることは難しいです。そのため、完全なゼロ排出を目指すのではなく、排出されるCO2と同じ量のCO2を削減する、もしくは吸収して実質的にCO2排出量をゼロにすることを意味しています。
森林が二酸化炭素を減らす理由としては、「光合成」が挙げられます。木や花といった植物には、光合成という働きがあります。光合成とは、大気中の二酸化炭素を吸収して酸素を放出するといった働きです。
光合成のプロセスで、木々や植物は大気中の二酸化炭素を取り込んで、炭素を自身の組織に蓄積します。これによって、森林は自然の二酸化炭素吸収源として機能することになり、大気中のCO2減少につながります。
カーボンニュートラルを実現するには、森林の伐採を防ぐことも重要です。伐採すると木々に溜まった炭素が大気中に放出されてしまうため、森林の保護や再生はカーボンニュートラルを目指すうえで重要なポイントです。
森林クレジットとは、企業や団体が自ら排出する二酸化炭素(CO2)の削減を証明するために使用されるクレジットのことです。主に、植林や森林の保護、再生などの活動を行い、二酸化炭素が大気中から吸収され、削減される量に対して発行される証明書のようなものを指します。
つまり、森林クレジットを取得することによって、企業は自社が排出するCO2の排出量と相殺することが可能です。
森林クレジットは、以下のような仕組みで進行します。
まず、企業や団体などが植林や森林保全活動、再生可能エネルギーの導入などの森林活動を実施します。これにより、二酸化炭素の排出削減や吸収などが達成されます。森林活動を実施した後は、森林活動によるCO2の吸収量と計測・算定を行います。計測は専門の期間や認証機関によって確認されるため、正確なデータが必要です。
CO2吸収量に応じて森林クレジットが発行され、1クレジットで1トンのCO2を削減・吸収したことが証明されます。このクレジットは企業が自社のCO2排出量をオフセットする際に使用します。発行された森林クレジットは、オフセットを行う企業や団体に販売されて取引が行われますが、購入した企業は自社のCO2排出量を相殺するためにクレジットの使用が可能です。
企業として、どのように森林クレジットを活用しているのでしょうか。ここでは、企業が森林クレジットを活用している事例を3つ紹介します。森林クレジットの活用を考えている場合は、ぜひ参考にしてください。
サントリープロダクツ株式会社の天然水北アルプス信濃の森工場では、カーボンクレジットを購入し、カーボンニュートラルの達成を目指しています。PAS 2060に基づき、これらのカーボンクレジットは指定された監査済みのソースから取得されます。そのため、ダブルカウントが起こらないことや、積極的にCO2排出を削減することが保証されています。
トヨタユナイテッド静岡株式会社では、静岡県内での環境保護活動を推進しており、地産地消木材の活用や植樹、森林保全団体への寄付、自社販売する車の走行によってCO2排出を相殺しています。また、高性能スポーツカー「スープラ」に対して、CO2排出権クレジットを付与・販売し、購入後3年間の走行における実質的なカーボンニュートラルを達成しました。
JALグループでは、環境保護と地球温暖化防止に対する意識の高いお客さまの声に応え、2009年から提供している「JALカーボンオフセット」の見直しを行いました。新しく、ノルウェーのCHOOOSE社と提携して、よりお客さまにとって簡単で分かりやすく、使いやすいカーボンオフセットの仕組みの提供を実現しています。
カーボンニュートラルに向けて森林を活用することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。主なメリットは、CO2削減への貢献・環境負荷の軽減・カーボンニュートラルの達成・地域経済の活性化・持続可能な資源利用などが挙げられます。
森林は光合成によって二酸化炭素を吸収して酸素を放出し、炭素を蓄えるという役割があります。そのため、森林の保護や活用はカーボンニュートラルの大きな要素といえるでしょう。企業として森林保護活動を行うことで、自社の排出するCO2の削減をサポートすることが可能です。
森林保護活動によって、環境負荷の低減につながります。森林は多くの動植物を育む重要な生態系です。そのため、伐採や破壊などを避けることで、土壌の浸食防止や水質保全、生態系の維持などにつながり、広範囲な環境負荷軽減に役立つでしょう。森林を守ることで、地球全体の環境改善に寄与できます。
企業としてカーボンニュートラルを達成するには、排出量の削減だけでなく森林保護や再生可能エネルギーの導入が必要不可欠です。CO2排出量を完全にゼロにすることは難しいため、CO2を吸収、削減して実質ゼロにすることが求められます。森林に投資することで、カーボンニュートラル達成に向けたステップを踏めるでしょう。
地元で森林保護活動を行うことで地域の雇用創出や観光促進などにつながるため、地域経済の活性化を実現できます。たとえば、地域住民が参加できる森林保護や管理、森林の再生プロジェクトなどは、地域経済の活性化に寄与します。企業として森林保護活動に投資することで経済的なリターンが生まれ、結果として企業の利益にもつながります。
森林の保護や植林などの森林活動を行い、森林を適切に管理することで木材やバイオマスなどの資源を持続可能な方法で利用できるというメリットがあります。これによって、環境負荷を最小限に抑えながら、資源の確保が可能です。必要な資源を安定的かつ継続的に供給できる点は、大きなメリットといえるでしょう。
森林は地球のCO2吸収源としてだけでなく、多くの生物の生息地としても重要な役割を果たします。森林の保護や管理などを行うことによって、森林資源を守りながらその価値を次世代へと継承することが可能です。持続的な森林経営に取り組むことは、企業としての活動や経営を安定的に行ううえでも重要なポイントです。
森林保全活動は国内外で進められていますが、課題が多くあります。たとえば、過剰伐採や森林の荒廃によって生態系が崩れたり生物多様性が失われたりするなどしており、地球温暖化を加速化させているとされています。また、森林保全活動には多くの資金や人手が必要です。しかし、資金や人手が足りない地域も多いため、地方自治体や企業による支援が求められます。
企業として持続可能な森林経営を行うことで、環境負荷を軽減しながら長期的かつ安定的な資源供給の確保が可能です。具体的には、森林認証を受けた木材や製品の使用などが挙げられます。これによって、サプライチェーン全体で森林資源の適切な管理、消費者に対して環境に配慮した運営のアピールなどができます。
カーボンオフセットとは、企業や個人が自ら排出するCO2と相殺するために、CO2削減活動を行うことにより、環境負荷を減らす取り組みです。前述したように、森林は光合成によってCO2を吸収する役割があるため、CO2吸収源として非常に重要です。
森林の樹木が成長する過程でCO2を吸収するだけでなく、炭素を蓄えることもできるため、森林保全や植樹といった森林活動はカーボンオフセット活動としてよく使われています。
カーボンオフセットとは、企業や個人が排出したCO2を他の場所で削減または吸収する活動を行うことで相殺する仕組みです。CO2の排出をすべてなくすことは難しいため、カーボンオフセットはCO2を実質的に削減し、気候変動を防ぐために不可欠です。特に、企業では持続可能な経営や社会的責任が求められるため、重要な要素となります。
森林で行うカーボンオフセットの主な内容としては、森林保全活動や植林・植樹などによる新たな森林の形成などが含まれます。森林はCO2を吸収して酸素を放出するだけでなく、木材として炭素を蓄えるという役割があります。森林を維持・増設するなど適切に管理することで、CO2の削減につながります。
カーボンニュートラルを達成するには、森林資源の管理や企業による対応が求められます。今後、どのような対応が必要なのでしょうか。ここでは、森林資源の活用や企業としての対応などについて解説します。
森林資源の活用において、最新技術の利用や新しい取り組みなどが大きな役割を果たしています。特に、木材利用は大きな進化を遂げており、高い注目を集めているようです。たとえば、木材は建築材料だけでなく、木質バイオマスを活用したバイオエネルギーや化学製品の原料として再評価されつつあり、木材の価値が高まっています。
森林資源の管理は、企業が地域社会と連携することが重要です。地域経済の活性化と環境保全を進めていくことが重要なポイントであり、企業として森林保全活動に参加することで、地域社会の雇用創出や地元資源の活用につながります。たとえば、地域の木材利用の促進や森林再生プロジェクトによる地域住民との協力などが挙げられます。
カーボンニュートラルには森林が大きく関係しています。カーボンニュートラル達成のために、企業として森林保全活動や植樹などの森林活動に力を入れることが重要です。また、カーボンオフセットによって脱炭素化を進めることや地域社会との協力なども求められます。
ゼロ炭素ポートでは、自社だけでなく他社ソリューションとも協力してお客さまのニーズに応えるサイトです。カーボンニュートラル達成に役立つ情報やソリューションなどを紹介しているため、カーボンニュートラルへの取り組みをお考えならお気軽にお問い合わせください。
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA