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カーボンニュートラルには再生可能エネルギーは不可欠!再エネの種類も詳しく解説

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年01月24日

日本では、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しています。2020年10月に当時の総理大臣が所信表明演説で、2050年までに「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。企業には、カーボンニュートラルの実現のために、再生可能エネルギーへの置き換えが求められています。 

本記事では、カーボンニュートラルの基本情報や、実現のために再生可能エネルギーが重要であることを解説します。また、再生可能エネルギーの種類も紹介するので、ぜひ参考にしてください。 

カーボンニュートラルとは 

カーボンニュートラルについての理解を深めるために、ここではカーボンニュートラルの基本的な事項を解説します。 

カーボンニュートラルの意味 

カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出と吸収を差し引きしてゼロにすることです。例えば、100トンの二酸化炭素を排出した場合は、何らかの方法で100トンの二酸化炭素を吸収することになります。温室効果ガスの影響で、地球温暖化が問題視されており、その抑制のための国際的な取り組みです。 

前述したように、日本では2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを、2020年に政府が宣言しました。また、二酸化炭素だけでなく、メタンや一酸化二窒素、フロンガスを含む「温室効果ガス」が対象となっています。それらの排出を全体として、実質的にゼロにすることを目指した取り組みです。 

カーボンニュートラルと脱炭素の違い

カーボンニュートラルと脱炭素は、似たような意味で使われることもありますが、実際は異なります。カーボンニュートラルは、二酸化炭素の排出量と吸収量の差を実質的にゼロにすることです。 

脱炭素は、二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの排出を減少させる取り組み全般を指します。カーボンニュートラルは、脱炭素の一部の取り組みであり、二酸化炭素の排出を減らすことが重要な課題です。減らしても排出しなければならない場合は、森林などによる吸収を増やすことで相殺します。 

カーボンニュートラルが必要な背景

地球温暖化により、気象災害の増加や生態系への影響が懸念されています。温室効果ガスの排出の増加は、現代の気候変動問題の大きな要因です。温室効果ガスによる地球温暖化は、海面上昇や異常気象、農作物の生産性低下などのさまざまな問題を生じさせています。 

これらの問題を解決するためには、地球の温暖化を抑えなければなりません。温室効果ガスのなかでも、排出量が最も多いのは二酸化炭素です。これが、カーボンニュートラルが必要である背景であり、世界的な取り組みにもなっています。また、サスティナブルな社会を実現させるためも不可欠な要素です。 

カーボンニュートラル達成への取り組みには再生可能エネルギーが重要 

カーボンニュートラルを達成させるためには、再生可能エネルギーの活用が重要です。なぜなら、再生可能エネルギーが二酸化炭素をほとんど排出しないため、その排出を大幅に削減できるからです。 

また、再生可能エネルギーは、エネルギーの安定供給にも貢献します。その理由については、以降の「再生可能エネルギーの種類」で詳しく述べます。また、エネルギー自給率向上やエネルギー安全保障の強化にも役立つため、安定的なエネルギー供給体制を構築することも可能です。 

再生可能エネルギーの基本情報

カーボンニュートラルを実現させるために、再生可能エネルギーを活用するためには、再生可能エネルギーについての知識が不可欠です。 

再生可能エネルギーとは 

再生可能エネルギーとは、資源が枯渇せずに繰り返し利用できるエネルギーを指します。なかでも多い利用法が発電であり、再生可能エネルギーでの発電時には、二酸化炭素をほとんど排出しないことが特徴です。 

地球にやさしいエネルギーであるため、カーボンニュートラルにおいても重要な役割を果たします。地下資源を除いた自然を利用しているため、安定的なエネルギーでもあり、資源国の動向に左右されないことも大きな特徴です。 

再生可能エネルギー化率100%を達成した企業も増えている 

再生可能エネルギーを利用し、カーボンニュートラルを達成している企業も増えています。そのような企業のなかには、自社で使用する電力のすべてを再生可能エネルギーで賄っているケースも少なくありません。 

例えば、大手の情報関連機器販売企業では、2021年に国内拠点で使用する電力をすべて再生可能エネルギーに切り替えました。自社でオンサイト発電(自社敷地内での再生可能エネルギー発電)を推進し、各地域に適した再生可能エネルギーの発電に投資した結果です。 

また、大手ビール会社は、全工場と全営業拠点で購入する電力のすべてを、再生可能エネルギーの電力に切り替えました。さらに、すべての工場に大規模太陽光発電設備も導入しています。 

鉄道各社も再生可能エネルギー化を進めている

電力の消費は目には見えませんが、温室効果ガスを発生しています。電力を大量に消費する鉄道各社では、再生可能エネルギー化を進めており、成果をあげているケースも少なくありません。 

例として、近畿地方の鉄道会社では、専用の太陽光発電設備を設置し、主要線区の列車運転用電力として使用しているケースがあります。また、首都圏の私鉄では、全線で使用する電力のすべてを再生可能エネルギー由来の電力とし、二酸化炭素排出しない運行を実現しました。 

再生可能エネルギーの種類 

太陽光発電は、太陽光を太陽電池モジュールに当てて、光エネルギーで発電する方法です。温室効果ガスを発生させないため、カーボンニュートラルや脱炭素社会に役立つエネルギーといえます。太陽が出ていれば発電できるため、クリーンで持続可能な発電です、 

ただし、太陽が出ていない場合は発電しないため、安定した電力供給という面では課題があります。蓄電池を使用すれば課題も一定程度は解消できるため、蓄電池の性能が上がれば電力供給の安定化が望めるかもしれません。太陽光発電は、再生可能エネルギーのなかでの知名度も高く、広く普及している発電方法です。 
 
参考:PPAモデルの太陽光発電で企業の脱炭素への1歩を後押し|株式会社ヒナタオエナジーインタビュー | ゼロ炭素ポート 

水力発電 

水力発電は、高所から水を落とした水流で水車を回し、水車の回転エネルギーを電気エネルギーに変換させる発電方法です。水力発電は、気象条件などにあまり左右されないため安定した発電が可能で、計画的な発電もできます。 

水力は古くから活用されているため、ノウハウが充実しているのが特徴です。ただし、イニシャルコストが高いことが課題であり、太陽光発電のようには普及していません。また、安定した運用のためには、長期間にわたる河川状況調査も必要です。 

バイオマス発電 

バイオマス発電は、バイオマス燃料を燃やした蒸気でタービンを回し発電する方法です。バイオマスとは、再生可能で生物由来の有機性資源を指します。バイオマス発電は、家畜などの排泄物や稲わら、生ゴミなどを活用するため、廃棄物の再利用や減少に貢献する発電です。 

これまでは捨てられていたものを、バイオマス発電の燃料として有効利用することで、環境保全にも役立つでしょう。安定した燃料があれば、電気も安定して供給できます。 

風力発電 

風力発電は、風の運動エネルギーで風車を回し、回転エネルギーを電気エネルギーに変換させて発電する方法です。陸上だけではなく、洋上での発電も可能であり、風さえあればどこでも発電できます。また、風のエネルギーは効率性が高く、電気エネルギーへの変換率も高いのが特徴です。 

地熱発電 

地熱発電は、地下のマグマを熱源とした発電方法です。高温の熱水や蒸気を取り出し、タービンを回して発電します。利用する蒸気は天然のものであるため、有害ガスが発生しないことが特徴です。気候の影響も受けにくいため、安定した電力供給も見込めますが、イニシャルコストが高いため普及が進んでいません。 

太陽熱発電 

太陽熱発電は、太陽光を集めて生まれた熱を利用して。蒸気タービンを回して発電する方法です。太陽熱発電はエネルギー効率が高いという特徴があります。太陽光発電のエネルギー効率は7〜18%程度ですが、太陽熱発電は40%〜60%程度です。 

しかし、日本では太陽熱発電の普及は進んでいません。理由は、太陽熱発電の集光ミラーが湿度に弱いことと、設置するために広い平地が必要になるためです。 

再生可能エネルギーの問題点 

再生可能エネルギーには、カーボンニュートラルや脱炭素社会に対して多くのメリットがあります。しかし、問題点もあるため、ここで紹介します。 

発電コストが高い 

再生可能エネルギーを利用した発電方法は、比較的コストが高いことが問題点です。また、日本は欧州と比較して導入率が低いため、イニシャルコストを抑えることが難しいことも原因として挙げられています。ただし、近年の技術開発により、コストダウンは進んでおり、今後は導入率の改善が期待できる状況です。導入率が高くなれば、コストも抑えられるでしょう。 

国民の負担が大きい 

再生可能エネルギーは、イニシャルコストが高いだけではなく、国民の負担額も多いのが問題点です。理由は、再生可能エネルギーの固定価格制度(FIT)であり、家庭や企業で発電した電気を電力会社が買い取る仕組みにあります。 

この制度により、再生可能エネルギーで発電した電力は、電気の買い取り費用として電気利用者が毎月払う電気料金に「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ促進賦課金)」としてプラスされます。国民の負担軽減のため、FITの見直しが行われ法改正もされていますが、まだ負担は大きいといえるでしょう。 

発電量の安定が難しい 

再生可能エネルギーのなかには、太陽光や風などを利用しているものもあり、天候に左右されやすい発電も少なくはありません。このような状況では、安定供給という面では問題があるといえます。 

また、発電量のコントロールが難しいことも問題です。その問題克服のために、バーチャルパワープラント(VPP)などのシステムで、電力量のコントロールの実用化を目指しています。 

変換効率が低い 

再生可能エネルギーは、変換効率の低さも大きな問題点です。水力発電や太陽熱発電は比較的エネルギー効率は高い傾向にありますが、総電力量の一部でしかありません。また、変換効率が高くても、イニシャルコストが高いことが問題です。 

再生可能エネルギーの主力とされるのは太陽光発電ですが、これまでは変換効率が7~18%程度でした。しかし、太陽光発電の研究や技術開発が進み、現在は変換効率が約38%まで押し上げられています。今後も、太陽光発電の変換効率が向上すれば、問題点を克服できる可能性が高くなるでしょう。 

注目されるアンビエント発電 

カーボンニュートラルには、再生可能エネルギーが不可欠ですが、アンビエント発電も注目されています。ここでは、アンビエント発電を解説します。 

アンビエント発電とは 

アンビエント発電とは、生産や製造、発電などの過程で発生する未利用熱を利用して発電する方法です。発電所や工場などの排熱、環境熱などを利用し、燃料や電池としての活用を目指しています。 

バイオマス発電や地熱発電でも未利用熱が発生すれば、アンビエント発電が可能です。原理として小型化や薄型化が可能であり、熱源があればどこでも発電できるようになるでしょう。 

アンビエント発電のメリット 

アンビエント発電が注目されているのは、多くのメリットがあるためです。具体的には、以下のようなメリットがあります。 

・あらゆる余剰熱や未利用熱、排熱などを有効活用できる 
・熱源がある限り発電可能であるため、半永久的な電源になり得る 
・排熱などを利用するため、サスティナブルな社会に貢献できる 
・天候や発電する場所に影響されにくい 
・量産できれば低コスト化も可能となる 

アンビエント発電の技術が進めば、カーボンニュートラルの実現に対しても有効な手段になるでしょう。 

まとめ 

カーボンニュートラルは、地球温暖化の抑制やサスティナブルな社会の実現に不可欠です。脱炭素社会への取り組みの一環として、企業も前向きに取り組まなければなりません。カーボンニュートラルの実現のためには、再生可能エネルギーの活用が有効な手段です。 

しかし、カーボンニュートラルの実現へのプランニングや再生可能エネルギーの利用で悩む企業も少なくありません。もし、これらで悩みがあれば「ゼロ炭素ポート」をご活用ください。ここでは、カーボンニュートラルなどの悩みを気軽に相談できるでしょう。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA