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建築業におけるカーボンニュートラルの取り組みを解説!事例もあわせて紹介 

作成者: zerotansoport|2025年01月24日

あわせて紹介 

カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが、日本企業においても求められています。建築業におけるカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みとして、どのようなものが行われているか分からない方も多いでしょう。 

本記事では、カーボンニュートラル実現に向けて建築業が取り組んでいる内容を紹介します。建築業が取り組むメリット・デメリットも解説するので、参考にしてください。 

カーボンニュートラルとは 

カーボンニュートラルとは、CO2やメタンなどの温室効果ガス排出量・吸収量を均衡させることで、実質ゼロを目指す取り組みのことです。 

まず、温室効果ガスの排出量削減は欠かせない取り組みであり、限りなくゼロに近づけることが望ましいとされています。そのうえで削減が難しい場合は、CO2の吸収量を増やす目的で植林や森林管理を行うなど、自然資源を活用した対策に取り組むことが求められています。 

カーボンニュートラルと脱炭素の違い 

「カーボンニュートラル」と「脱炭素」は、似たような意味として扱われています。カーボンニュートラルでは、包括的に温室効果ガスの削減に取り組むのに対し、脱炭素では、CO2の削減にフォーカスしているという違いがあります。 

脱炭素化とは、「脱炭素社会」を目指して省エネ技術や再生可能エネルギーを利用し、CO2の排出量を実質的にゼロにするという取り組みです。地球温暖化による気候変動を抑制する目的で、カーボンニュートラルと同様に世界的に取り組まれています。 

カーボンニュートラルが必要とされる背景 

カーボンニュートラルが必要とされる大きな要因は、地球温暖化の影響です。 

地球温暖化による気候変動が原因となる、熱波や寒波、大雨、水害、干ばつなどの異常気象が世界中で起きています。地球温暖化が起きる理由の1つである温室効果ガスには、太陽からの熱を閉じ込めて地球を暖めるという働きがありますが、過剰に増えてしまうことで熱が放出されず気温が上昇し地球が温暖化します。 

2021年のIPCC第6次評価報告書によると、温暖化対策を怠れば、異常気象はさらに増えると報告されており、一刻も早い対策が求められています。 

※参考:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)サイクル | 地球環境・国際環境協力 | 環境省 

建築業界におけるカーボンニュートラル 

建築業界における現状や法制度、政策について解説します。カーボンニュートラルに取り組むうえで知っておくべき情報なので、理解を深めるための参考にしてください。  

建築業界におけるCO2排出量の現状 

建築業界はほかの産業と比べ、産業廃棄物とCO2の排出量が膨大です。国土交通省の「建設施工分野における地球温暖化対策の推進」によると、建設現場で消費されている燃料から排出されているCO2の量は、年間11,466,000tにもおよびます。これは産業部門全体の2.4%を占めており、およそ150万人分のCO2排出量に相当します。 

また、建築が完了した建物からもCO2は排出されており、環境省の「2020年度温室効果ガス排出量」の報告によると、業務その他部門からは17.4%、家庭部門からは15.9%ものCO2が排出されています。この両者の排出量を合算すると、産業部門に続いて2番目の排出量です。 

建築業界においては施工中だけではなく、施工後の建物から排出されるCO2の量も考慮しなければいけません。 

※出典:建設施工分野における地球温暖化対策の推進│国土交通省 

2020年度温室効果ガス排出量(確報値)概要│環境省 

建築業界に関係する法制度や政策 

建築業界がカーボンニュートラルに取り組むうえで、押さえておきたい法制度や政策を紹介します。 

法制度・政策  取り組み内容 
エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(以下「省エネ法」という。)・温対法定期報告  ビジネス上発生するエネルギー使用量を原油換算量で表し、年1回報告 
省エネ適合性判定の義務化  住宅を含むすべての建築物を「建築物エネルギー消費性能基準」に準ずる 
建物ZEB化の推進  年間に消費するエネルギー量を2030年までにZEB水準に引き上げ、ゼロに近づける 
国土交通グリーンチャレンジ  ・ZEHやZEBの普及 ・省エネ改修の促進による建築物の省エネ対策の強化や木造建築物の普及拡大 

ZEBとは、建物の断熱性向上や高効率の省エネ設備導入、再生可能エネルギーの利用で年間の消費エネルギーをゼロに近づける概念を指します。また、ZEHは住宅に限定したZEBと同様の概念です。 

建築業界におけるカーボンニュートラルへの取り組み 

ここでは、建築業界におけるカーボンニュートラルへの取り組みをいくつかご紹介します。これから取り組む企業は、ぜひ参考にしてください。 

再生可能エネルギー由来の電力活用 

建設現場において、使用する電力を「再生可能エネルギー由来の電力」に変更するという取り組みが行われています。実際に石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料ではなく、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを利用する建設現場も増加している傾向です。 

ZEBを目標とした建物の建設も促進されており、再生可能エネルギーを活用する手段として注目されています。 

法の整備 

2021年に、「地球温暖化対策計画」や「エネルギー基本計画」が採択されました。その影響で2050年までに住宅を含む建築物の半数以上が、ZEHやZEB基準の省エネ性能を確保するという目標が掲げられています。 

これに伴い、建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律が改正され、以下の6つの義務・認定が定められました。 

・中規模以上非住宅建築物に対する適合義務及び適合性判定義務 
・中規模以上の住宅に対する届出義務 
・小規模建築物に対する建築士による説明義務 
・省エネ向上計画の認定 
・エネルギー消費性能の表示 
・建築物省エネ法の誘導基準の見直し 

※参考:建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律 | 東京都都市整備局 

カーボンニュートラル化した工事 

カーボンニュートラル化した工事とは、重機をはじめとする建設機材を燃費効率が優れたものにした工事のことです。工事に関する契約を結ぶ時点で、カーボンニュートラルに向けた取り組みや実績を評価します。 

また、アイドリングストップを徹底的に実践し、CO2の排出量の削減にも取り組みます。従業員に対しても省エネ運転の教育を推進し、社内全体でカーボンニュートラルの実現を目指します。 

カーボンニュートラル化した原料の選定

低炭素型コンクリートや、CO2吸収コンクリートなど、カーボンニュートラル化した原料を選び使用する取り組みも行われています。 

また、どの企業でも導入しやすい取り組みとして、木材の利用促進が挙げられます。木材はほかの原料と比べても、製造の段階からCO2の排出量が少ないです。国産の材料であれば海外からの運搬も不要であり、原料を手にするまでにかかる環境負荷を減らすことにもつながります。 

パッシブデザインの導入 

パッシブデザインの導入も、建築業においてカーボンニュートラル実現に向けて取り組まれています。パッシブデザインは自然エネルギーを利用するため、地球に対して負担をかけにくい建築物になるといえるでしょう。パッシブザインとは、太陽光や地熱など、自然の力を利用して機械を使わずに建物へ活用する設計手法です。 

これまでは住宅に導入されることが多かったパッシブデザインですが、公共施設や大規模建築物などの設計にも取り入れられるようになりました。 

フィジカルPPA 

フィジカルPPAとは、PPA事業者が所有している発電設備を活用して生み出された「電力」と「環境価値」を、両方とも直接買い取る仕組みのことです。太陽光発電をはじめとする設備によって生み出された再生可能エネルギーを、一定期間固定の金額で契約できるため、長期的な電力調達に関する見立てがつけやすいといえます。 

バーチャルPPA 

バーチャルPPAとは、太陽光発電や風力発電などによって生み出された電力から「環境価値」だけを分けて取得する方法のことです。メリットとして、契約している電力会社を変更しなくてもよい手軽さが挙げられます。バーチャルPPAに取り組むことで、再生可能エネルギーの設備を新たに増やす「追加性」が認められるため、高い評価を得ることが期待できます。 

建築業がカーボンニュートラルに取り組むメリット 

建築業はCO2の排出量が多いため、その分CO2の削減に貢献できるメリットがあります。また、カーボンニュートラルに積極的に取り組むことにより、企業イメージの向上にもつながるでしょう。ESG投資という環境や社会的側面に配慮した投資が増加しているため、投資家からも注目されることで、資金調達をスムーズに進められる可能性が高まります。 

カーボンニュートラルへの取り組みは、今後も加速することが予測されます。早い段階で取り組むことにより、企業の成長力や競争力を高めておけることもポイントです。さらに、初期費用はかかりますが、エネルギー使用を効率的に行えるため、長期的に見るとコストの削減にもつながります。 

建築業がカーボンニュートラルに取り組むデメリット 

省エネ対応の設備を導入したり、再生可能エネルギーを利用したりするためのコストがかかってしまうという点がデメリットとして挙げられます。省エネ対応の空調や断熱性能の高い断熱材、環境負荷の少ない車など、導入する設備が多いほどコストがかかるでしょう。 

また建設業は、受注をしてから実際に報酬を得るまでの期間が長く、資金繰りが難しいと言われる業種です。カーボンニュートラルへの取り組みに必要な費用を銀行に融資してもらうためにも、資金繰りを良くする必要があります。 

さらに、CO2の削減に取り組んでも実際に効果を感じにくいため、取り組みに対する従業員のモチベーションが低下してしまう可能性もあるでしょう。そのため、従業員の関心を高めるための工夫が欠かせません。 

建築業でのカーボンニュートラル取り組み事例 

ここでは、建築業における実際のカーボンニュートラルへの取り組み事例を紹介します。

清水建設株式会社 

清水建設株式会社では「エコロジー・ミッション2030-2050」を掲げ、自社と建設に関わった建築物からのCO2排出量ゼロを目指して取り組んでいます。 

具体的な取り組み内容は、以下のとおりです。 

・エネルギー生産効率の向上のためにICTの活用 
・重機を動かすエネルギーとして、従来の軽油ではなく環境負荷の少ない「次世代バイオディーゼル燃料」や「GTL燃料」を使用 
・本社ビルに太陽光パネルを設置し、生み出された再生可能エネルギーを照明の電力として活用 

戸田建設株式会社 

戸田建設株式会社では、施工時に使用する電力を再生可能エネルギー100%にするため、再生可能エネルギーの調達を行っています。建設現場においても、CO2排出量を削減するために、低炭素な軽油代替燃料の利用を拡大し、GTL燃料や燃費向上剤も導入するようになりました。 

建物のライフサイクルにおいては、運用段階が最もエネルギー消費を行っているとして、ZEBの普及拡大に向けて取り組んでいます。実際に超高層複合用途ビルにおいてZEB Ready認証を取得した実績があります。 

大和ハウス工業株式会社

大和ハウス工業株式会社においては、「2030年までに温室効果ガスの排出量を70%削減する」という目標を立てて、カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいます。 

「省エネ」「電化」「再エネ」の3つを分類し、実践しています。省エネでは、新施設をZEBにし、既存の建物は省エネ投資で更新しています。電化では、クリーンエネルギー自動車を推進中です。再エネでは、自社開発の再生可能エネルギーで使用電力を賄うという取り組みを実践しています。 

まとめ 

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建築業におけるカーボンニュートラルへの取り組みは、世界的にも注目されており、重要だとされています。建築業が取り組むことで、大幅にCO2をはじめとする温室効果ガスの削減が期待できるでしょう。工事のカーボンニュートラル化や原材料の選定など、実際に取り組めるところから実践していくことが大切です。 

ゼロ炭素ポートは、自社のみならず他社のソリューションとも協力して、カーボンニュートラルへの取り組みをサポートするサイトです。建築業におけるカーボンニュートラルへの取り組みを検討中の方はご活用ください。