ゼロ炭素ポート

カーボンニュートラルとSDGsの関係性とは?国が取り組んでいることも解説 

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年01月17日

カーボンニュートラルとSDGs(持続可能な開発目標)は、どちらも地球環境の保全と持続可能な社会の実現を目指しており、密接に関連しています。特に、気候変動に対する取り組みが重要なテーマであり、温室効果ガスの排出を抑制し、持続可能なエネルギーの利用を促進することが共通の目的となっています。 

本記事では、カーボンニュートラルとSDGsがどのように連携しているのか、その関係性を詳しく解説します。SDGsの目標達成に向けた取り組みが、カーボンニュートラルの実現にどのように貢献するのかを探り、具体的なアクションプランについても解説するので、ぜひ参考にしてください。 

カーボンニュートラルとSDGsの関係性 

カーボンニュートラルとSDGs(持続可能な開発目標)は、どちらも地球環境の保全と持続可能な社会の実現を目指す点で密接に関連しています。特に、気候変動やエネルギー問題に対する取り組みが共通の課題として挙げられます。 

カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出をゼロにすることを目指す一方で、SDGsは、世界中のさまざまな側面における持続可能な発展を促進することを掲げています。中でも、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」と目標7「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」は、カーボンニュートラルの達成に直接的に関わる目標です。 

SDGs 目標13「気候変動に具体的な対策を」 

SDGsの目標13では、気候変動への具体的な対策が求められています。この目標は、気候変動が地球全体に深刻な影響を与えている現状を踏まえ、緊急かつ効果的な対応を促すものです。気候変動への適応能力を向上させるための政策強化や、広範な教育・啓発活動が推進されています。 

また、各国は、パリ協定の目標達成に向けた具体的な行動を実施することが求められています。カーボンニュートラルの実現は、この目標に不可欠な要素であり、温室効果ガスの排出削減が重要な役割を果たします。 

SDGs 目標7「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」 

目標7は、すべての人々が安価で持続可能なエネルギーを利用できるようにすることを目指しています。この目標では、再生可能エネルギーの利用拡大とエネルギー効率の改善が推進されており、これがカーボンニュートラルの達成にとって欠かせない要素です。 

また、国際的な協力を通じて技術革新やエネルギーの普及を進めることが、世界全体の脱炭素化を加速するために重要です。 

そもそもカーボンニュートラルとは 

カーボンニュートラルとは、人為的に排出される温室効果ガスの量と、吸収される量を均衡させることで、実質的な排出をゼロにすることを指します。この取り組みは、地球温暖化を抑制し、気候変動問題を解決するために不可欠な目標とされています。 

現在、世界各国が2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指し、さまざまな政策や技術開発を進めています。 

日本政府も、2020年10月に「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という目標を正式に宣言しました。これを実現するため、再生可能エネルギーの導入拡大や省エネルギーの推進、さらには革新的な技術開発など、多方面での取り組みを進めています。 

SDGsとは 

SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年の国連サミットで採択された、2030年までに達成すべき17の目標から成る国際的な枠組みです。SDGsは、各国政府、企業、個人が協力し、地球規模での課題に取り組むことを求めており、すべての人々が平等で豊かな生活を送ることができる社会の構築を目指しています。 

カーボンニュートラルとSDGsが注目されている理由 

カーボンニュートラルとSDGsが注目されている主な理由は、地球温暖化の進行にあります。人間の活動によって温室効果ガスが増加し、これが地球の平均気温の上昇を引き起こしています。 

この気温上昇は、異常気象や海面上昇といった深刻な環境問題を引き起こしており、その影響はすでに世界各地で顕在化しています。これらの問題に対処するため、温室効果ガスの排出を削減し、カーボンニュートラルの実現が急務とされています。 

SDGs(持続可能な開発目標)は、この課題に対する国際的な取り組みとして、持続可能な社会の実現を目指し、カーボンニュートラルもその重要な目標の一つとして位置づけられています。 

カーボンニュートラルとカーボンゼロ・カーボンオフセットの違い 

カーボンニュートラル、カーボンゼロ、カーボンオフセットは、いずれも温室効果ガスの排出削減に関連する概念ですが、そのアプローチには違いがあります。 

  • カーボンニュートラル:排出された二酸化炭素(CO2)を吸収や削減活動で相殺し、実質的にゼロにする取り組みを指します。 

  • カーボンゼロ:再生可能エネルギーの活用や効率的な技術を通じて、CO2の排出そのものを完全にゼロにすることを目指します。 

  • カーボンオフセット:自らの排出を削減しきれない分を、他の削減活動への支援や貢献を通じて補う仕組みです。例えば、森林の再生や再生可能エネルギーへの投資を通じて、自分の排出分を他の場所で相殺する方法です。 

カーボンニュートラルとSDGsの課題

カーボンニュートラルとSDGsの達成には多くの課題があります。 

特に、再生可能エネルギーの普及や産業の脱炭素化、一般市民の意識向上といった分野での取り組みが不足しており、これらの課題が解決されない限り、目標の実現は難しいとされています。 

再生可能エネルギーの国内普及率が低い 

再生可能エネルギーの国内普及率は依然として低く、その導入には高いコストがかかるため、普及が進んでいません。また、太陽光や風力発電の導入には地理的制約があり、特に設備設置が難しい地域も存在します。そのため、エネルギーの安定供給を確保しつつ、再生可能エネルギーの普及を進めるためには、技術革新が求められています。 

産業部門での脱炭素化の課題 

製造業や建設業など、CO2排出量の多い産業部門の脱炭素化は、依然として大きな課題です。生産プロセスの転換には高いコストがかかるため、特に中小企業にとっては資金や技術の不足が障害となっています。また、持続可能なビジネスモデルへの転換が進みにくい状況にあり、産業全体での脱炭素化を加速させるためには、支援策や新技術の導入が不可欠です。 

一般市民の理解が十分でない 

カーボンニュートラルやSDGsに対する一般市民の理解は十分とは言えません。特に、日常生活でのエネルギー削減やごみ減量の実践が浸透しておらず、多くの人々が個々の行動が環境に与える影響を十分に認識していません。そのため、教育や啓発活動を通じて市民の意識改革を進めることが求められています。 

カーボンニュートラル実現とSDGs達成に向けた国の取り組み 

日本政府は、カーボンニュートラルの実現とSDGs(持続可能な開発目標)の達成を目指し、多くの取り組みを進めています。これらの施策は、温室効果ガスの削減と、環境保護と経済成長のバランスを取ることを目的としています。以下で、主要な取り組みについて詳しく解説します。 

1. 2050年カーボンニュートラル宣言 

2020年10月、日本政府は「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」という目標を掲げ、世界的な気候変動対策の強化に取り組む姿勢を示しました。この目標を達成するためには、産業構造の抜本的な転換やエネルギー供給の根本的な改革が必要です。 

特に、再生可能エネルギーの利用促進や省エネルギー技術の革新が重要となります。国際的な気候変動対策へのコミットメントも強化されており、日本は各国と協力して温暖化対策に取り組んでいます。 

参照: 環境省 2050年カーボンニュートラル宣言 

2. グリーン成長戦略の策定

日本政府は、「グリーン成長戦略」を策定し、再生可能エネルギーや水素エネルギーなど、成長が期待される14の産業分野に対して高い目標を設定しています。この戦略は、カーボンニュートラルの実現に向けて、経済と環境の好循環を作り出すことを目的としており、再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率の向上を積極的に推進しています。 

また、政府はこれらの目標達成のために、補助金や支援策を充実させ、企業の脱炭素化を後押ししています。 

参照: 経済産業省 グリーン成長戦略 

3. 地域脱炭素ロードマップの策定 

日本政府は、2030年までに少なくとも100の脱炭素先行地域を創出する計画を立てています。これにより、地域ごとの再生可能エネルギーの活用促進や、地域経済と環境の両立が図られます。脱炭素先行地域では、地域特有の資源を活用したエネルギーの自給自足や、再生可能エネルギーの普及が進められており、地域住民の意識向上も期待されています。 

この取り組みは、地方創生と脱炭素化を同時に推進するものであり、地域ごとの特色を生かした持続可能な社会の実現を目指しています。 

参照: 環境省 地域脱炭素ロードマップ 

4. 改正地球温暖化対策推進法の成立

改正された地球温暖化対策推進法(地球温暖化対策の推進に関する法律)は、温室効果ガスの排出削減に向けた具体的な法的枠組みを提供し、脱炭素社会の実現を法律に明記しています。 

この改正により、政策の継続性や予見性が向上し、企業や地域の脱炭素化の取り組みがより強力に推進されることが期待されます。また、法律に基づき、各種の脱炭素施策が実行されることで、投資家や企業の信頼が高まり、さらなる脱炭素投資を呼び込む効果もあります。 

参照: 環境省 改正地球温暖化対策推進法 

5. 脱炭素化支援機構の設立 

日本政府は、脱炭素事業に取り組む民間事業者を支援するため、脱炭素化支援機構を設立しました。この機構は、200億円の出資をもとに、最大1,000億円規模の脱炭素事業を支援しています。 

具体的には、新たなビジネスモデルの構築や、技術革新を通じて、数兆円規模の脱炭素投資を誘発することを目指しています。この支援により、企業は脱炭素化を加速させ、持続可能な経済社会の実現に貢献することが期待されています。 

参照: 脱炭素化支援機構 

カーボンニュートラル実現とSDGs達成に向けた企業の取り組み

カーボンニュートラルの実現に向けた企業の取り組みは、環境保護における重要な役割を果たしています。企業が積極的にCO2排出削減を目指し、再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの推進を進めることは、持続可能な社会を実現するための鍵となります。 

以下で、代表的な企業の取り組みをご紹介します。 

パナソニックグループ 

パナソニックグループは、2030年までに事業活動でのCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げています。再生可能エネルギーの導入や省エネ設備の導入を積極的に推進し、製品のエネルギー効率向上や環境負荷低減にも注力しています。 

特に、エネルギー効率の高い製品の開発や、再生可能エネルギーを活用した製造プロセスに注力しており、持続可能な未来を作るための重要なステップとなっています。 

味の素グループ 

味の素グループは、2030年までに自社の温室効果ガス排出量を50%削減する目標を掲げています。生産工程でのエネルギー効率改善や再生可能エネルギーの活用を推進し、サプライチェーン全体での環境負荷低減に取り組んでいます。 

特に、エネルギーの効率的使用と再生可能エネルギーの導入によるカーボンフットプリント削減を目指しており、持続可能な社会に貢献する企業としての責任を果たしています。 

花王株式会社 

花王株式会社は、2040年までにカーボンゼロ、2050年までにカーボンネガティブを達成する目標を掲げています。製品ライフサイクル全体でのCO2排出削減を推進し、環境に配慮した製品開発や持続可能な原材料の調達を実施しています。 

特に、化学製品や日用品の製造過程で排出されるCO2の削減に取り組み、再生可能エネルギーの導入やリサイクルを強化することで、環境負荷の低減を図っています。 

大日本印刷株式会社 

大日本印刷株式会社は、環境負荷を低減するために、植物由来のバイオマス素材を使用したICカードを開発・提供しています。 

また、プラスチック使用量の削減とCO2排出削減にも積極的に取り組んでいます。環境に配慮した製品を提供することで、持続可能な社会の実現に貢献し、企業としての責任を果たしています。これにより、印刷業界における脱炭素化の先駆者として、他の企業にも良い影響を与えています。 

スターバックス 

スターバックスは、2030年までにコーヒーの栽培から販売までの全工程でカーボンニュートラルを達成する目標を設定しています。持続可能な農業の推進や再生可能エネルギーの活用を推進するとともに、廃棄物削減やリサイクルの促進を通じて、環境負荷の低減に取り組んでいます。 

コーヒー生産地での再生可能エネルギーの利用や、省エネルギー技術の導入を進め、カーボンフットプリントの削減に貢献しています。 

まとめ

カーボンニュートラルとSDGsは、地球環境を守り、持続可能な社会を構築するために密接に関連しています。特に、気候変動対策や再生可能エネルギーの普及は、SDGsの目標達成に直接的な影響を与えます。 

政府は、これらの目標を実現するために積極的に政策を策定し、脱炭素社会の実現に向けた支援策や取り組みを推進しています。カーボンニュートラルの実現に向けた企業や地域社会の協力が不可欠であり、全員が一丸となって取り組むことが、持続可能な未来を築くための鍵となります。 

カーボンニュートラルやSDGsのポイントがなかなか見つからないときは、参考情報を集めたWebサイト「ゼロ炭素ポート」をご覧ください。カーボンニュートラルのヒントや実例がたくさん掲載されており、企業がカーボンニュートラルに取り組む際の参考にしていただけます。 

また「ゼロ炭素ポート」では、他社とも協力して最適なソリューションをご提案しています。カーボンニュートラルで大きなメリットを得たいと考えるなら、個別のご相談もぜひご利用ください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA