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カーボンニュートラルとカーボンオフセットの違い|日本での取り組みなど解説

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2025年01月17日

カーボンニュートラルとは、排出される二酸化炭素(CO2)の総量を削減し、その削減量に加えて、植林や再生可能エネルギーの利用などを通じてCO2の吸収量を増やすことで、最終的に排出量と吸収量を均衡させる取り組みを指します。 

一方、カーボンオフセットは、自らのCO2排出量を完全に削減することができない場合に、他地域や国で行われる削減活動や環境保護プロジェクトに資金を投じることで、自らの排出量を相殺する方法です。 

本記事では、カーボンニュートラルとカーボンオフセットの違いに焦点を当て、両者の特徴や適用例について詳しく解説します。 

カーボンニュートラルとカーボンオフセットの違い 

カーボンニュートラルとカーボンオフセットは、どちらもCO2排出量の削減を目指すものですが、アプローチに違いがあります。カーボンニュートラルは、自らの排出量を削減し、残りの排出量を吸収活動(例えば植林や再生可能エネルギーの利用)で相殺して、最終的にCO2の排出量をゼロにすることを目指します。 

一方、カーボンオフセットは、排出量の削減が難しい場合に、他の地域や国で行われる削減活動や吸収プロジェクトに投資・支援することで、その分を相殺する手段です。 

カーボンニュートラルとは 

カーボンニュートラルとは、人為的に排出される温室効果ガスの量と、吸収される量を均衡させることで、実質的な排出をゼロにすることを指します。この取り組みは、地球温暖化を抑制し、気候変動問題を解決するために不可欠な目標とされています。 

現在、世界各国が2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指し、さまざまな政策や技術開発を進めています。 

カーボンオフセットとは 

カーボンオフセットは、自らのCO2排出を削減しきれない場合に、その分を他の削減活動への投資や協力で補う仕組みです。具体的には、温室効果ガスの排出削減を目的としたプロジェクトに資金を提供することで、自分自身の排出量を相殺することができます。 

この方法は、個人や小規模な企業にとっても参加しやすい制度であり、クレジット(排出削減量)を購入する形でカーボンオフセットに取り組むことも可能です。 

カーボンリサイクル・カーボンネガティブとは 

カーボンリサイクルは、大気中や工場から排出されたCO2を回収し、燃料や化学製品の原料として再利用する技術です。この技術の最大の特徴は、CO2を廃棄物として処理するのではなく、循環資源として活用する点にあります。 

例えば、CO2を合成燃料の製造に利用する取り組みが進められており、これにより化石燃料の使用を減らし、再生可能エネルギーの活用を拡大することが期待されています。この技術は、CO2排出削減にとどまらず、エネルギー効率を高め、持続可能な資源循環を実現する重要な手段となります。 

また、カーボンネガティブとは、CO2の吸収量が排出量を上回る状態を指します。つまり、CO2を超えて吸収することによって、環境への負担を逆に減少させる状態です。 

カーボンオフセットの仕組み

カーボンオフセットは、自らの活動で排出したCO2を、他の削減活動や吸収活動で相殺する仕組みです。この方法では、企業や個人が自らの二酸化炭素排出量を削減できない場合に、他の地域や国で行われる削減プロジェクトに資金を投じることで、その分を補います。 

主な手段としては、植林活動や再生可能エネルギープロジェクトへの投資が挙げられます。これにより、排出削減が難しい分野でも相殺を行い、全体としての温室効果ガス排出量削減を目指すことが可能となります。 

2050年カーボンニュートラル宣言とは 

日本政府が2020年に発表した「2050年カーボンニュートラル宣言」は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという目標を掲げた重要な宣言です。 

具体的な対策としては、再生可能エネルギーの普及、産業の構造転換、革新技術の推進などが挙げられています。特に、再生可能エネルギーへの転換やエネルギー効率の向上、クリーンテクノロジーの導入がカーボンニュートラル達成に向けた重要な要素とされています。 

日本のCO2排出状況について 

2022年度の日本のCO2排出量は約10億8,500万トンとなり、過去最低を記録しました。これは、2013年度比で22.9%減少したことを意味し、2050年カーボンニュートラル達成に向けた重要な進展を示しています。 

この減少は、産業部門における省エネルギー努力や再生可能エネルギーの導入拡大が大きな要因となっています。特に、再生可能エネルギーの普及や、省エネ技術の導入が進む中で、排出削減が加速していることが影響しています。 

参照:2022年度の我が国の温室効果ガス排出・吸収量について/環境省 

カーボンニュートラルに向けて日本が取り組んでいること 

カーボンニュートラルに向けて日本が取り組んでいることについて、以下で詳しく解説します。 

1. グリーン成長戦略の策定 

日本政府は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、再生可能エネルギーや水素エネルギーなど、成長が期待される14の産業分野に対して高い目標を設定しています。 

この戦略は、カーボンニュートラルの実現に向けて、経済と環境の好循環を作り出すことを目的としており、再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率の向上を積極的に推進しています。また、政府はこれらの目標達成のために、補助金や支援策を充実させ、企業の脱炭素化を後押ししています。 

参照: 経済産業省 グリーン成長戦略 

2. 地域脱炭素ロードマップの策定 

日本政府は、2030年までに少なくとも100の脱炭素先行地域を創出する計画を立てています。これにより、地域ごとの再生可能エネルギーの活用促進や地域経済と環境の両立が図られます。脱炭素先行地域では、地域特有の資源を活用したエネルギーの自給自足や、再生可能エネルギーの普及が進められており、地域住民の意識向上も期待されています。 

この取り組みは、地方創生と脱炭素化を同時に推進するものであり、地域ごとの特色を生かした持続可能な社会の実現を目指しています。 

参照: 環境省 地域脱炭素ロードマップ 

3. 改正地球温暖化対策推進法の成立 

改正された地球温暖化対策の推進に関する法律(以下地球温暖化対策推進法という)は、温室効果ガスの排出削減に向けた具体的な法的枠組みを提供し、脱炭素社会の実現を法律に明記しています。 

この改正により、政策の継続性や予見性が向上し、企業や地域の脱炭素化の取り組みがより強力に推進されることが期待されます。また、法律に基づき、各種の脱炭素施策が実行されることで、投資家や企業の信頼が高まり、さらなる脱炭素投資を呼び込む効果もあります。 

参照: 環境省 改正地球温暖化対策推進法 

脱炭素化支援機構の設立 

日本政府は、脱炭素事業に取り組む民間事業者を支援するため、株式会社 脱炭素化支援機構を設立しました。この機構は、200億円の出資をもとに、最大1,000億円規模の脱炭素事業を支援しています。 

具体的には、新たなビジネスモデルの構築や、技術革新を通じて、数兆円規模の脱炭素投資を誘発することを目指しています。この支援により、企業は脱炭素化を加速させ、持続可能な経済社会の実現に貢献することが期待されています。 

参照: 脱炭素化支援機構 

5. ゼロカーボンシティの推進 

ゼロカーボンシティは、地方自治体が2030年、または2050年までにCO2排出を実質ゼロにすることを目指す取り組みで、地域単位での脱炭素化を促進する重要な施策です。この施策では、地方自治体が自らの目標を掲げ、再生可能エネルギーの導入や省エネ対策、交通インフラの脱炭素化を進めることが奨励され、政府からの補助金や技術支援も提供されています。 

また、ゼロカーボンシティは地域特性を生かした環境にやさしい都市づくりを進めるとともに、地域経済の活性化にも貢献することが期待されています。 

参照:地方公共団体における2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明の状況 

6. 脱炭素経営の促進 

日本政府は企業の脱炭素化を促進するため、さまざまな支援策を講じています。その一環として、企業が気候変動に対する戦略を開示する「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の導入を推進しており、これにより企業は自社のCO2排出量やリスク、機会を財務報告に反映させることが求められています。 

さらに、脱炭素経営の目標設定に関しては、SBT(Science Based Targets)やRE100(再生可能エネルギー100%)といった国際的な枠組みを基に、企業が具体的な目標を設定し、その達成に向けた活動を進めることが推奨されています。 

参照:気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)/環境省 

カーボンニュートラルに向けて企業が取り組んでいること 

多くの企業がカーボンニュートラルの実現に向けて積極的に取り組みを進めています。以下で、主な企業の取り組みを紹介します。 

1. セブン&アイ・ホールディングス 

セブン&アイ・ホールディングスは、「GREEN CHALLENGE 2050」という環境宣言を掲げ、2050年までのカーボンニュートラル実現を目指しています。この取り組みの一環として、2013年度比でグループの店舗運営に伴うCO2排出量を80%以上削減する計画を進行中です。 

また、オリジナル商品の容器には環境配慮型素材を100%使用し、食品廃棄物のリサイクル率を100%にすることも目標としています。 

2. 株式会社東芝 

東芝は、「環境未来ビジョン2050」を策定し、バリューチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指しています。同社は、2030年までに2019年度比で温室効果ガス排出量を70%削減する計画を進めています。 

また、温室効果ガス削減に貢献する商品やサービスの創出を行うと同時に、化学物質や水の管理、生物多様性保全に向けた対策を強化しています。 

3. 三井不動産株式会社 

三井不動産は、グループ全体の温室効果ガス排出量を2030年度までに40%削減(2019年度比)、2050年度までにゼロにする目標を掲げています。これを実現するため、新築および既存物件の環境性能向上を進めるとともに、物件共用部や自社利用部の電力をグリーン化しています。 

また、入居企業や購入者向けに環境配慮型のグリーン化メニューを提供し、協働による脱炭素化を推進しています。 

4. 花王株式会社

花王株式会社は、2040年までにカーボンゼロ、2050年までにカーボンネガティブを達成する目標を掲げています。製品ライフサイクル全体でのCO2排出削減を推進し、環境に配慮した製品開発や持続可能な原材料の調達を実施しています。 

特に、化学製品や日用品の製造過程で排出されるCO2の削減に取り組み、再生可能エネルギーの導入やリサイクルを強化することで、環境負荷の低減を図っています。 

5. パナソニックグループ 

パナソニックグループは、2030年までに事業活動でのCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げています。再生可能エネルギーの導入や省エネ設備の導入を積極的に推進し、製品のエネルギー効率向上や環境負荷低減にも注力しています。 

特に、エネルギー効率の高い製品の開発や、再生可能エネルギーを活用した製造プロセスに注力しており、持続可能な未来を作るための重要なステップとなっています。 

まとめ

カーボンニュートラルとカーボンオフセットの違いを理解することは、温室効果ガス削減の取り組みを進める上で非常に重要です。カーボンニュートラルは、排出と吸収のバランスを取ることを目指す一方で、カーボンオフセットは他の削減活動への投資を通じて自らの排出量を相殺します。 

日本では、国や企業が積極的にカーボンニュートラルの実現に向けてさまざまな取り組みを進めており、再生可能エネルギーの導入促進や、カーボンオフセットを利用した削減活動が進行中です。 

カーボンニュートラルやカーボンオフセットのポイントがなかなか見つからないときは、参考情報を集めたWebサイト「ゼロ炭素ポート」をご覧ください。カーボンニュートラルのヒントや実例がたくさん掲載されており、企業がカーボンニュートラルに取り組む際の参考にしていただけます。 

また「ゼロ炭素ポート」では、他社とも協力して最適なソリューションをご提案しています。カーボンニュートラルで大きなメリットを得たいと考えるなら、個別のご相談もぜひご利用ください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA