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オフィスの省エネ・節電アイデア15選|効率的な方法や注意点も紹介

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2024年12月27日

近年、電力需給の見通しが厳しく、電気代の値上がりが続くなか、企業の省エネ対策がますます重要視されています。 

本記事では、オフィスで実践できる省エネアイデアをジャンル別に紹介しているため、ぜひお役立てください。空調や照明、OA機器などに分け、効率的かつ手軽に始められる方法を中心に提案し、省エネを進める際の注意点も詳しく解説しています。 

オフィスで省エネに取り組むべき理由 

オフィスの省エネ対策は、エアコンや照明、OA機器などのエネルギー消費を抑える取り組みです。省エネ対策を効果的に進めるには、従業員の協力が欠かせません。そのため、まず省エネのメリットを従業員に伝え、理解を得ることが重要です。ここでは、オフィスで省エネに取り組むべき理由を解説し、企業全体で省エネ活動を推進するためのポイントを紹介します。 

コスト削減 

近年、天然ガスなどエネルギー資源の価格上昇に伴って燃料費調整額が高騰し、電気料金の値上がりが深刻化しています。オフィス全体で省エネ対策を進めることで、電気代の削減が期待でき、経費の圧縮にも寄与します。効率的なコスト削減は、企業が経営を安定させるうえで欠かせない取り組みです。 

特に、消費電力が高まる夏は省エネ効果が出やすい時期です。地球温暖化の影響で消費電力が年々増加している今こそ、企業として省エネ対策の強化に適しています。 

エネルギーの安定供給貢献と地球温暖化防止 

地球温暖化や気候変動が深刻化するなか、省エネは世界規模で取り組むべき重要テーマです。オフィスの省エネは、温室効果ガスの排出量を抑えることで地球温暖化の防止に貢献し、エネルギーの安定供給にも役立ちます。 

温室効果ガス削減のためには、各企業が率先して省エネ対策を進めることが不可欠です。国や自治体と協力して温室効果ガス削減に取り組むことは、持続可能な社会の実現にも寄与します。 

企業の社会的評価の向上 

企業が節電や省エネに積極的に取り組むことで、環境問題への真摯な姿勢を示し、企業イメージの向上が期待されます。また、環境意識の高さをアピールすることにより、社会的評価が高まり、競争力の強化にもつながるでしょう。 

さらに、こうした取り組みは、環境意識の高い人材の獲得や、資金調達の場面で有利に働く可能性があります。積極的な環境対策を進めることは、企業の長期的な成長を支えるうえで欠かせない要素です。 

オフィスでの効率的な省エネ施策のポイント 

オフィスで効率的に省エネを進めるには、何を優先すべきかを把握することが大切です。夏季と冬季では消費電力の傾向が異なり、自社ビルかテナントビルかによっても取り組む範囲が変わります。ここでは、オフィス全体で省エネを実現するための具体的なポイントを解説します。 

自社オフィスビルの省エネ

自社でオフィスビルを所有しているなら、省エネのための設備更新や共有部分の設定変更が自由に行えるため、効果的な施策を導入しやすいでしょう。特に、セントラル空調の設定や共有部の照明の見直しがポイントです。空調、照明、コンセントが主な電力消費要因ですが、動力設備の効率化も意識する必要があります。 

また、自社の活動に最適な電力プランへの見直しや、BAS(ビルディングオートメーション・システム)導入、太陽光発電の活用も省エネ効果を高める有効な手段です。これらの取り組みで、長期的なコスト削減と環境負荷軽減が期待できます。 

テナントオフィスの省エネ 

ビル全体を賃貸しているか、テナントオフィスを利用している場合は、実現可能な施策はやや限定されます。空調、照明、コンセントの消費エネルギーに着目し、改善点を洗い出す必要があります。エネルギー管理体制を構築する際は、テナントオーナーやビル管理会社などと共に、継続的に改善を進めるとよいでしょう。 

夏季・冬季の省エネ 

資源エネルギー庁のデータによると、オフィスの電力消費量の8割以上を空調設備、照明器具、OA機器(パソコンやプリンターなど)が占めています。空調費用は季節による変動が大きく、電気代の約半分を占める一方、照明とOA機器の電気代はそれぞれ全体の約2割です。 

夏季は気温が高いため空調設備が、冬季は日照時間が短いため照明器具も大きな割合を占めます。そのため、空調、照明、OA機器を効率的に節電することで、大幅な経費削減につながるでしょう。以上を踏まえ、自社ビルやテナントオフィスで実践できる具体的な省エネアイデアを、ジャンル別に紹介します。 

※出典:夏季の省エネ・節電メニュー│資源エネルギー庁 
※出典:冬季の省エネ・節電メニュー│資源エネルギー庁 

【1】オフィスの空調設備の省エネアイデア6選 

まずは、オフィスで実現可能な空調設備関連の省エネアイデアを、6種類紹介します。 

1.エアコン設定温度の適正化 

エアコンは温度調整を行う際に多くの電力を消費するため、適切な温度設定と室内を適温に保つことが省エネの鍵です。環境省は室内の適温として、夏は28℃、冬は20℃を目安として推奨しています。この温度を維持することで、快適性を保ちながら無駄なエネルギー消費を抑えることが可能です。 

設定温度を1℃緩和するだけで、冷房時には約13%、暖房時には約10%の省エネ効果が期待できます。電力コストの削減と環境負荷の軽減が見込まれるため、エアコンの温度設定を見直し、適温を意識した運用を心がけましょう。 

※出典:エアコンの使い方について | 家庭部門のCO2排出実態統計調査│環境省 

2.定期的にエアコンのフィルターを清掃

エアコンのフィルターにホコリがたまると、空気の循環が悪化し運転効率が低下します。そのため、フィルターは2週間に一度の清掃が理想的です。環境省によると、フィルター清掃を行うことで夏場は約4%、冬場は約6%の節電が期待できます。定期的にオーバーホールし、エアコン内部の薬品洗浄も効率向上に効果的で、省エネと快適性の両立が可能になります。 

※出典:みんなで節電アクション! | オフィスでできる節電アクション | 1.エアコンで節電!│環境省 

3.季節ごとの就業時間の変動と分散起動 

平日13〜16時は電力消費がピークとなるため、一部でも早朝や午後から業務を開始すれば消費電力を分散できます。特に、夏場は気温が上がる前の早朝から業務を始め、冬は暖かい時間帯にエアコンを稼働させるなどすると起動時の消費電力を減らせるため、季節に応じた就業時間の調整は効果的です。 

また、空調を終業時間の少し前に停止し、残熱を利用することでも運転時間を短縮できます。気温が低い冬は残業時間を減らすと空調の稼働時間を短縮できるため、省エネに有効です。 

4.遮熱カーテンやブラインドの導入 

窓の多いオフィスでは、遮熱カーテンやブラインドの導入が効果的です。夏は外気の熱を遮断し、冬は室内の暖かい空気を逃さないことで空調の稼働率を削減できます。日中はカーテンを開けて日光を取り入れ、夜は冷気を遮断するためにカーテンを閉めることで、さらに省エネが可能です。 

5.扇風機やヒーターなど他の電化製品も活用

エアコンの電力消費を抑えるため、扇風機やサーキュレーターなど他の電化製品を活用する方法も効果的です。扇風機やサーキュレーターで室内の空気を循環させることで、設定温度になるまでの時間を短縮し、体感温度を下げられます。特に、暖かい空気が室内の上部にたまりやすいため、冬はサーキュレーターで空気を攪拌するのがおすすめです。 

また、足元をピンポイントで暖められるヒーターを上手に活用すれば、暖かい空気がすぐに回りにくい環境を効率的に暖めることができるでしょう。 

6.室外機の環境整備 

室外機の効率を下げないようにするため、吹き出し口付近には障害物を置かないようにしましょう。また、夏場はすだれなどで室外機への直射日光を遮ると、冷却効率が向上します。さらに、室外機用散水機(ピークカット散水装置)を導入することで、熱を効率的に放散でき、省エネ効果が期待できます。

【2】オフィスの照明設備の省エネアイデア4選 

次は、オフィスの照明設備関連の省エネアイデアを4つ紹介します。 

1.照明設備をLED化する 

照明設備をLED化することで、消費電力を大幅に削減できます。LEDは蛍光灯の約4倍、白熱電球の約20倍、約40倍も長寿命なケースもあるほど経済的です。また、LEDは発熱が少ないため室内温度の上昇を抑え、空調負荷の軽減にもつながります。電球や蛍光灯からの切り替えは、省エネ効果とコスト削減の両方に貢献します。 

2.不要な電気はこまめに消灯 

不要な照明をこまめに消灯することは、効果的な省エネ対策の1つです。資源エネルギー庁では、昼休みの消灯を推奨しており、日中には窓際の自然光を活用する方法も挙げられています。 

さらに、タスク・アンビエント照明を活用し、机上にライトを設置することで、部屋全体の照明を減らしつつ効率的に明るさを確保する工夫が可能です。これらの取り組みにより、無駄なエネルギー消費を抑えることができます。さらに、自動販売機のバックパネルを消灯することも、省エネ対策になります。 

ただし、消灯をしすぎて業務効率が低下しないよう、バランスを意識して行うことが重要です。 

※出典:夏季の省エネ・節電メニュー│資源エネルギー庁 

3.人感センサーの導入 

人感センサーを導入すれば、使用頻度の低い場所の照明を効率的に管理できます。人感センサーは人の気配を感知して自動で点灯・消灯するため、休憩室や会議室、応接室、トイレや廊下など、さまざまな場所で省エネが可能です。必要な時だけ照明を点ける仕組みで、無駄な電力消費を大幅に削減できる便利なアイデアです。 

4.照明制御システムの導入

照明制御システムを導入すれば、時間帯や状況、季節に合わせて光色や光量を自動的に調整でき、効率的な運用が可能です。無線調光制御システムを活用すると、設定内容に応じてオフィス全体やエリアごとに照明をコントロールでき、省エネ効果をさらに高められます。 

【3】オフィスのOA機器の省エネアイデア4選

パソコンやプリンターなど、オフィスで使われるOA機器も、工夫次第で電気代を抑えて省エネが可能です。ここでは、4つのアイデアを紹介します。 

1.スリープモードを使用 

パソコンやプリンターなどのOA機器は、起動時やシャットダウン時に多くの電力を消費します。そのため、スリープモードを活用すれば、機器の動作を最小限に抑えながら電源を切らずに節電が可能です。特に、常時電源がオンになっているパソコンにスリープモードを設定するだけで、効率的に省エネできます。離席時は、スリープモード使用を社内ルールとして従業員に徹底すれば効果的です。 

スリープモードは、パソコン以外にもディスプレイやプリンターにも搭載されているため、設定できる機器では使用を検討しましょう。

2.省電力モードに設定し、モニターの明るさも変更

パソコンの省電力モード設定でも、効率的に省エネが可能です。省電力モードは、一定時間キーボードやマウスの操作がない場合に、自動でディスプレイの輝度を落としたり、スリープ状態に移行したりするため無駄な電力消費を抑えられます。また、モニターやディスプレイの明るさを適切に下げるだけでも、消費電力の削減に効果があります。 

3.不要時のOA機器は電源オフ 

使用頻度の少ないOA機器は、不要時に電源を切ることで待機電力を抑制し、効果的な節電が可能です。個別スイッチ式の節電タップを活用すれば、待機電力を簡単に遮断できて安全性も高まります。パソコンなどの機器では、不使用時にコンセントを抜くことでもさらなる省エネ効果が期待できます。 

4.OA機器の買い替えや台数削減 

省エネ機能付きで消費電力が少ない最新機器への買い替えも検討しましょう。特に、デスクトップパソコンから消費電力の少ないノートパソコンへの切り替えは効果的です。古いパソコンは動作が遅くなり業務効率も低下するため、買い替えが推奨されます。また、複合機のように消費電力の大きな機器は、台数削減も省エネに有効です。  

【4】設備投資による省エネアイデア 

設備投資が必要なオフィスの省エネ対策として、太陽光発電の導入は効果的です。特に、近年注目されているオンサイトPPAなどの自家消費型太陽光発電は、初期費用を抑えつつ再生可能エネルギーを利用できるため、コスト削減と環境負荷軽減の両立が可能です。こうした設備投資は、持続可能な経営にも貢献します。 
 
参照:PPAモデルの太陽光発電で企業の脱炭素への1歩を後押し|株式会社ヒナタオエナジーインタビュー | ゼロ炭素ポート 

オフィスで省エネに取り組む際の注意点

ここまでで紹介した以外の有効な省エネ手段や心構え、オフィス内で省エネに取り組む際の注意事項をまとめて解説します。 

エネルギー管理の体制作りと従業員の意識改革

オフィスで省エネに取り組むには、エネルギー管理の体制構築と従業員の意識改革が不可欠です。省エネが効果的な個所を洗い出し、専門の省エネ担当者を置くことで、施策の実行と効果検証がスムーズになります。 

また、ノー残業デーや休日出勤の削減、会議の朝や夕方の実施も省エネに有効です。さらに、クールビズやウォームビズを取り入れることで、空調の使用を抑え、従業員の意識向上を促進できます。 

従業員の健康面に配慮した省エネ対策を

省エネ対策を進める際は、従業員の健康面に十分配慮することが重要です。例えば、エアコンの使用を制限しすぎて熱中症を引き起こさないよう注意し、照明を暗くしすぎることで視力や業務効率に悪影響を与えないようにしましょう。省エネの意識が強すぎて従業員が働きにくい環境にならないよう、快適な職場環境を維持することが大切です。 

まとめ

オフィスでの効率的な省エネ施策のアイデアを多数紹介しました。自社で実践しやすい方法をぜひ取り入れてください。コスト削減はもちろん、エネルギーの安定供給貢献や地球温暖化防止、企業の社会的評価の向上にもつながります。 

ゼロ炭素ポートは、カーボンニュートラルに向けた幅広い情報を発信するウェブサイトです。多様な解決策を提案しながら、企業の脱炭素化への取り組みをサポートします。スムーズかつ効果的な脱炭素の実現に向けて、ぜひご利用ください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA