ゼロ炭素ポート

省エネ技術の取り組み例を紹介!対策によるメリットも解説 

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2024年12月27日

世界的に環境対策が求められるなか、日本国内の企業に対しても省エネ対策が求められています。企業において、一体どのような省エネ対策に取り組む必要があるのでしょうか。 

本記事では、日本の企業で導入される省エネ技術の例を解説します。省エネ対策を実施するうえでのメリットについても解説するので、参考にしてください。 

日本における省エネの現状 

日本において、省エネ問題は継続的な課題として掲げられています。1970年のオイルショック後「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」が制定されました。 

省エネ法では、2030年までに35%エネルギー消費効率を改善させることを目指しています。制定直後の1973年と比較すると、2021年のエネルギー消費は20%ほど減少しており、目標達成に向けて着実に前進しているといえます。 

また、2021年に「改正地球温暖化対策推進法」が施行されたことにより、2050年までに脱炭素社会の実現という目標も加わりました。さらに、「改正地球温暖化対策推進法」では、温室効果ガスを2030年までに46%削減することを中間ゴールとして、再生可能エネルギーの普及に向けた環境の整備や周知を進めています。 

省エネの実現に向けた技術 

省エネの実現に向けて、2種類の技術が欠かせません。1つは「エネルギーを減らすための技術(パッシブ技術)」、もう1つは「エネルギーを効率的に利用する技術(アクティブ技術)」です。2つの技術を駆使し省エネを実現しても、プラスで必要となるエネルギーは「エネルギーをつくる技術(創エネ技術)」で補うことが大切です。ここでは、それぞれの技術について解説します。 

パッシブ技術 

必要なエネルギー量を低減するための技術のことを、パッシブ技術と呼びます。パッシブ技術の例として、外皮断熱や自然採光、日射遮蔽などが挙げられます。 

室温調整に冷暖房を使用する際は、エネルギーの消費が不可欠です。冷暖房仕様におけるエネルギー消費量を減らす目的で、壁や屋根、床などに高性能の断熱材を使用して室温を快適に保つことで、エネルギー消費量を抑制可能になります。また、熱の出入りが多い窓に断熱性の高い複層ガラスを使用することも、空調のエネルギー量の消費を抑えることに役立ちます。 

アクティブ技術 

アクティブ技術とは、エネルギーを効率的かつ有効的に利用するための技術です。エネルギーの無駄を省くことを目的としています。高効率照明や高効率空調などが、技術例として挙げられます。 

高効率照明としては、自然採光を取り入れてエネルギーの消費量を減らすことが大切です。また、白熱灯照明ではなく、LED照明を用いることでもエネルギーを効率的に利用できます。さらに、人感センサーやタイムスケジュール、明るさセンサーによる自動時調光・点灯・照明制御をLEDに組み込めば、さらなる効率化を目指すことが可能です。

創エネ技術

再生可能エネルギーを使用して、エネルギーをつくるための技術を創エネ技術と呼びます。太陽光発電システムが例として挙げられます。太陽光発電システムの開発は盛んであり、太陽光発電で使用される結晶シリコン系太陽電池の性能が日本は世界最高レベルともいわれています。 

オフィスの屋上や住宅の屋根に太陽光発電システムを設置し、電力を活用します。エネルギー資源の輸入を低減し、自家発電で賄うことが目標です。また、環境保全活動の1つとしても外部に向けてアピールできるため、企業のイメージアップにもつながるでしょう。 

省エネ技術を活用するメリット 

活用することで、さまざまなメリットがある省エネ技術ですが、具体的にはどのようなメリットが挙げられるのでしょうか。ここでは、省エネ技術を活用するメリットを3つ紹介します。 

ランニングコストの節約につながる

省エネ設備を導入すると、初期設定には費用がかかってしまいますが、長期的に見るとエネルギー消費量を抑えられるため、ランニングコストの節約につながります。また、自家消費型のエネルギー資源をつくれば、供給会社から購入しなくても済むため電力購入費も削減可能です。 

省エネ設備の導入にかかる初期費用は、国や地方公共団体から助成金や補助金を受けとれる場合もあるため、調べてみるとよいでしょう。 

設備を長く使えるようになる

定期的に省エネ設備のメンテナンスを行うことで、安定的かつ長期的に稼働できます。設備に負担をかけないように、清掃や交換などを定期的に実施し、清潔に保つことも省エネ対策の一環です。使わないときはこまめに電気を消す、水を止めるなどの行動も、省エネ設備の負担を低減させることにつながります。 

企業の印象を向上させる

省エネの推進は企業のイメージアップにもつながります。2018年に改正された省エネ法により、事業者は定期報告書を提出し、評価を受けるようになりました。高い評価を受けた場合、優良事業者として経済産業省のホームページへ掲載されます。 

また、世界的にカーボンニュートラルが課題として挙がっているなか、脱炭素化に取り組み高評価を受けると、企業価値が高まりやすく、投資家や顧客からの評価向上が期待できます。 

省エネ技術の取り組み例

ここでは、省エネ技術の取り組み例を紹介するので、参考にしてください。 

自家消費型太陽光発電の推進

オフィスや工場、住宅の屋根に太陽光パネルを設置して発電し、使用する省エネ対策です。発電した電気を自家消費することにより、電気代やCO2の排出量の削減につながります。また、消費電力よりも多く自家発電できれば、供給会社から購入しなくても済むため電気代がかからないケースもあります。 

太陽光パネルは、屋根が大きく、エネルギー使用量が多い企業との相性がよいとされており、工場を持っている製造業で広く導入が進んでいます。 

インバーター運転の導入 

エアコンや水洗ポンプ、スクラバーファンなどにインバーターを設置することも、有効な省エネ対策として挙げられています。インバーター制御とは、水圧や室温を自動でモーターの回転数によって調節する機能のことです。導入によって人が調整する必要がなくなるため、休業日に稼働させなければならない設備の管理が楽になります。 

最大と最小の運転能力をインバーターが自動で発揮するため、効率的な省エネが実現可能です

排熱のリサイクル 

製造の過程で発生し排出された熱を回収して、再利用するという省エネ対策です。回収した余熱を再利用して温め直すことで、1から空気を温める必要がなくなり省エネにつながります。陶器を製造する工程で活用されることが多く、専用の窯を使用して回収した熱を再加熱したり、乾燥室を温めるのに再利用したりすることで高い省エネ効果を得ています。 

熱を回収するためには、専用の設備を導入しなければいけないため、初期導入費用が発生することにも留意しておきましょう。 

企業間連携のコージェネレーション 

天然ガスや石油、電気などのエネルギー資源を企業間で連携して、お互いに利用する取り組みのことです。企業それぞれがどのようなエネルギーが必要・不要なのか、エネルギーの需要を分析して、エネルギーの面的利用を実施し、効率的な活用を行います。 

企業単独でのコージェネレーションが一般的でしたが、企業間で連携してエネルギーを消費することにより、無駄のない利用が可能になりました。 

企業間連携の共同配送 

複数の企業間で輸送を一元化し、輸送にかかる燃料消費やCO2の排出量低減を目指す省エネ対策です。ほかにも、ミルクラン方式と呼ばれる巡回集荷を採用しているケースもあります。ミルクラン方式とは、個別納品は避け、巡回して集荷してもらうシステムのことです。 

企業間での共同配送による輸送効率をアップし、サプライチェーン全体でのさらなる省エネを目指している企業も増加しています。 

水資源の有効活用 

上下水道以外の水源を確保し、オフィスや工場におけるエネルギーの消費量やコストを低減する省エネ対策もあります。屋根に溜まった雨水や廃水、地下水を回収して再利用する企業も増加中です。 

再利用の方法としては、散水用として活用するケースが挙げられます。初期費用が発生しますが、上下水道以外の水を、専用の設備を使用して飲料水や製造用水として活用する企業もあります。また、廃水を浄化し、きれいな水にしてから排水することで環境にも配慮した取り組みも実施されています。 

まとめ 

日本においても省エネは課題であり、さまざまな取り組みが実施されています。省エネの実現に向けた技術を活用し、企業それぞれに合わせた対策を講じる必要があるでしょう。省エネ技術の取り組み例を参考にして、自社で実践できるのはどのような取り組みかを検討してみてください。 

ゼロ炭素サポートは、自社のサービスに限定せず、他社のソリューションとも協力し、お客さまのニーズにお応えするサイトです。省エネの実現に向けて取り組むためにも、ぜひゼロ炭素ポートを利用してみてください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA