省エネに取り組むなら、消費電力が多い空調から実施すると効果的です。空調の省エネは設備買替の他、さまざまな工夫方法があり、1つずつ実施すると大きな効果を挙げられます。
本記事では、空調の省エネが重要な理由、省エネの実践方法を解説します。企業における省エネ施策の参考にしてください。
近年の、空調における課題には、次のようなものがあります。
近年は地球全体で気温が上昇し、暑くなっていることが確認されています。その一因として考えられているのが、地球温暖化です。
気象庁によると、2023年の日本の平均気温における基準値(1991~2020年の30年平均値)からの偏差は+1.29度で、1898年の統計開始以降で最も高くなりました。気温が上がると、快適な室温のためには空調を稼働させる必要がありますが、空調の稼働によってコストが上がり、地球温暖化を促進しかねない側面も課題です。
※参考:日本の年平均気温|気象庁
電気料金は、以前と比べると高騰傾向しているのが現実です。
経済産業省の統計によると、新型コロナウイルスの感染症の拡大により、2020年度は電気料金が低下したものの、2022年度まで再び上昇傾向にあります。家庭はもちろん、企業の収支にも大きな影響を与え、大きな経済問題の1つとなっています。
※参考:日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」2.経済性|経済産業省
地球温暖化や電気料金の高騰といった背景のもと、空調は省エネ化が求められています。
空調は、他の機器と比べても消費電力が大きく、電気代がかかりやすいのが特徴です。
経済産業省の2023年の「夏季の省エネ節電メニュー」によると、オフィスビルの消費電力の割合は、空調が48.6%と最も高いことがわかります。省エネのためには、空調の省エネに重点的に取り組むと効率的であるといえるでしょう。
※参考:夏季の省エネ・節電メニュー(事業者の皆様)|経済産業省
省エネは地球温暖化対策、温室効果ガス削減のための施策の一環として、国を挙げて取り組む課題となっています。企業は省エネ法によって、消費エネルギーの規制を受ける立場であり、企業の社会的使命であるといえるでしょう。
またこのような背景のもと、環境保護に取り組む企業は、社会的な評価が高まる側面もあるため、企業にとって省エネは決して損失ではありません。
空調の省エネ化には、複数のアプローチがあります。具体的には、設備やシステム導入・設定や環境の見直し・人の手による工夫などです。
アプローチ方法によって必要な施策や、かかる費用が変わるため、状況や予算に応じて対応方法を選ぶ必要があります。次項以降では省エネの方法を詳しく解説するので、できることから実施してみましょう。
省エネ設備や、省エネシステムを導入すると、費用はかかるものの高い省エネ効果が期待できます。
全熱交換器は、屋外への排気から熱・湿度を回収できるシステムで、高い省エネ効果があります。室内から室外へ移動しようとする熱や湿度を取り込めるため、換気による室内の温度変化を抑えられるのが特徴です。
したがって、全熱交換器を設置することで、外気からの影響が減り、空調の消費電力を削減できます。
近年は、人感センサーが搭載された空調が登場しています。人感センサーによって、人の活動量に合わせた空調稼働が可能です。
通常の空調は室内を一律に暖めたり、冷やしたりします。人感センサーがついていれば一律ではなく、人のいるところだけ必要に応じて温度調節をすればよいため、人のいないところに冷暖房費をかける必要がなく、節電になるでしょう。
断熱塗装とは、熱を室内に伝えづらくする塗装です。外気温からの影響を受けにくくなるため、夏は涼しく、冬は暖かく室内を保ちやすくなります。
断熱塗装は、屋根や外壁に塗って温度の移動を遮断するものになるため、屋根や外壁と室内とが近い距離にある工場や戸建てと好相性です。特に工場では広い屋根を断熱すると、工場内の空調の効きがぐんとよくなるでしょう。
窓から室内に入る日光は、室内温度を高める原因の1つです。そこで夏場は、ブラインド・遮光フィルムで日光を防ぐことで、冷房の効果を高め、省エネにつなげることができます。
ブラインドや遮光フィルムを使った方法は、南側など日当たりがよい部屋で効果的です。窓が大きく、窓際が暑い場所では、ぜひ採用を考えるとよいでしょう。
特段、設備を導入しなくても、空調の設定や室内外の環境見直しでも省エネが可能です。
空調の温度設定を改めて見直してみましょう。室温の目安は、夏28度・冬20度といわれています。必要以上に高く、または低く設定していないかを確認してみてください。
エアコンの設定温度を1度緩和すると、消費電力量は冷房時約13%、暖房時約10%削減されるとされています。実際の室温を測定することで設定温度を調整すると効果的です。
※参考:エアコンの使い方について|環境省
空調は換気も兼ねて外気を取り込む場合があります。しかし、外気は室内と温度が異なるため、外気を多く取り入れることによって、消費電力が大きくなるのが難点です。
とはいえ、外気の取り込みを減らしすぎると、空気質の悪化につながってしまいます。適度に空気を入れ換えつつ、外気を取り込みすぎないよう調整しましょう。
室外機の設置場所は、空調のエネルギー消費に影響を及ぼします。とりわけ、室外機の近くに障害物があると、熱排出効率が下がって余分なエネルギーを消費するだけでなく、故障の原因にもなってしまいます。
したがって、室外機の周囲には物を置かず、空間を確保するようにしましょう。故障を防ぎながら、余分なエネルギー消費を抑えることもできます。
空調を停止すれば、その時間分だけ省エネができるため、空調の稼働時間を見直すことも大切です。
空調の分散起動とは、一気に空調を起動させず、タイミングをずらして起動することです。
一気に起動させてしまうと、多くの電力が一度に消費されてしまいます。消費量が一度に上がるのは、電力消費の観点から好ましくありません。朝から空調が必要のない部屋については後からスイッチを入れるなど、起動のタイミングを分散することで、電気代を抑えられるでしょう。
空調を停止しても、一定時間は残熱で快適な室温を維持できます。そこで、終業時刻前には空調を停止することが効果的です。
早めに空調を切れば、その分を節電でき、事業所の経費を減らすことにもつながります。どの時間帯に空調を停止すれば、社員が快適に仕事できて節電もできるのかを考えてみるとよいでしょう。
空調に関する省エネ方法には、次のようなものもあります。
空調の設備をこまめに清掃すれば、空調の効率が上がり、省エネになることがわかっています。
エアコンの場合、フィルターを取り外し、埃や汚れを除去する簡単な方法です。掃除の頻度は、 2週間から1か月に一度が目安といわれています。ただし事業所用のエアコンの場合、プロでないと清掃できないものもあります。この場合、定期メンテナンスを契約すると、故障も防げてお得です。
ナイトパージとは、冷房負荷の軽減を目的とした方法です。例えば、夜間に換気扇をつけておくことで室内にこもった熱を排出し、翌朝の冷房効率を高めます。
現在はナイトパージ機能が搭載された空調も販売されており、省エネ設備として注目されています。
※参考:予冷予熱時の取入停止・ナイトパージ制御等の外気導入の適正な運用の実施|環境省
OA機器は熱を発生させ、室温を上げてしまう原因となります。電源を切らない限り電気を消費してしまうため、使用していない機器の電源をこまめに切るようにしましょう。待機電力の節約にもなることから、OA機器の多いオフィスでは特に意識するとよいでしょう。
人の手で行う省エネを効果的に実施するには、従業員の意識向上が求められます。省エネの重要性や、企業にとってのメリットを周知することが大切です。
また、取り組みによる成果を可視化すれば、モチベーションを向上・維持できるでしょう。節電効果を見える化できるシステムはすでに多くの企業で導入され、効果を発揮しています。
空調を省エネ化すると、企業では次のようなさまざまなメリットを得られます。
空調が省エネできれば、事業にかかる電気代を抑えられ、コストを削減できます。前述したように電気料金は高騰しているため、節電による大きな経済的効果が期待できるでしょう。
事業所のコストが下がれば、生産性の向上にもつながります。さまざまな方法でコストカットが求められる現在、空調コストはぜひ見直しておきたいポイントです。
省エネによって、地球温暖化の原因となるCO2の排出を抑えられます。地球温暖化の抑制は企業にとっても、社会の安定化を図り不要な損失を抑える重要な課題です。
また、省エネはSDGsの一環にもなります。SDGs「2030年までに達成すべき17の開発目標」のうち、目標7・13につながるもので、地球規模の課題に対応するには、まず手の届く範囲での省エネが欠かせません。
前述のとおり、地球温暖化の防止・SDGsの達成は、社会的な課題です。現在、社会的な課題に対応できている企業は、相応の社会的評価を得られる傾向にあります。
とりわけ投資において、脱炭素の取り組みを評価する傾向が顕著です。取り組みを行う企業に積極的な投資が行われているため、省エネに取り組めば資金調達に役立ち、企業の競争力を高められるといえるでしょう。
調システムの省エネに取り組むことは、企業にとって大きなメリットをもたらします。省エネをすることで経費が削減でき、生産性が向上し、投資の可能性をより開くことができる傾向です。ただ、自社で可能な対応方法が、具体的にわかりにくいという企業も多いことでしょう。
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会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA