ゼロ炭素ポート

脱炭素化に向けた対策とは?求められている理由や課題など詳しく解説 

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2024年11月28日

脱炭素社会とは、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする社会を目指すことです。2050年までに脱炭素化を達成することが目標とされています。 

本記事では、脱炭素社会に向けた対策について解説します。あわせて、脱炭素社会が求められる理由や脱炭素化に向けた課題なども解説するため、ぜひ参考にしてください。 

脱炭素社会とは 

脱炭素社会とは、温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す概念です。温室効果ガスのなかでも排出量の多い二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収量を均衡させることによって、温室効果ガスの実質ゼロを目指します。脱炭素は2050年までに達成することが目標です。 

脱炭素社会を目指すために、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上などの施策が挙げられます。また、CO2排出の大きい産業の技術革新などを通して、環境負荷の少ない構造への転換を図ることも重要です。 

低炭素社会とは 

脱炭素社会と似たような言葉として、低炭素社会があります。低炭素社会とは、CO2排出量を削減して現状の排出量から半減を目指す社会のことです。 

脱炭素の目標が設定されたパリ協定以前、低炭素社会は主流の目標とされていました。エネルギーの省エネ化やCO2の排出を低減できる技術の導入などが進められていましたが、地球温暖化の防止効果はあまり出ていません。そのため、現在ではより高い目標である脱炭素化に向けて、世界中で取り組まれています。 

企業において脱炭素化が求められている理由 

脱炭素化は世界的な目標です。脱炭素を目指すためには、個人としての取り組みだけでなく企業としての取り組みも必要です。ここでは、企業において脱炭素化が求められる理由について解説します。 

地球温暖化への対策としての必要性

地球温暖化の防止のために、脱炭素化が必要です。地球温暖化が進行してしまうと、さまざまな悪影響があります。たとえば、異常気象による災害の多発、生態系の変化、海面温度や海面の上昇、農業や漁業の生産量が減ってしまうなどの影響が考えられます。 

パリ協定で合意された1.5℃の温度上昇抑制目標を達成するには、個人の対策だけでは不十分です。企業を含む経済活動全体で、温室効果ガスを削減することが求められます。 

取引先から脱炭素化を求められるケースも 

取引先から脱炭素化を要求されるケースもあります。近年では、カーボンプライシング(炭素価格の導入)や排出量制限の国際的な動きが広がっています。大手企業においては、サプライチェーン全体での脱炭素化を重視する傾向が高まっているようです。 

そのため、取引先から脱炭素化を要求されるケースも増加しています。大企業・中小企業というように企業規模に関わらず、脱炭素化などの環境への配慮が求められる状況です。 

ESG投資の拡大と企業評価への影響 

投資家の間では、ESG投資が拡大しています。ESGとは、環境・社会・ガバナンスの頭文字を取った言葉で、脱炭素の取り組みが企業評価に直結するようです。 

脱炭素経営を実践する企業は環境に配慮した企業だと見なされるため、投資家や金融機関からの資金調達において評価が高くなり優遇されやすくなります。また、企業イメージの向上にもつながります。脱炭素への対応が遅れてしまうと、競争力の低下や信用リスクの増加につながる可能性が高まるため、投資や融資による資金調達に不利に働くでしょう。 

脱炭素社会を実現するうえでの課題 

脱炭素社会を実現するうえで考えられる課題は、以下のとおりです。 

・供給の安定性やコスト 
・技術革新の遅れ 
・輸送分野の課題 
・多額の費用が必要となる 
・一部企業にはハードルが高い 

ここからは、それぞれの課題について詳しく解説します。 

供給の安定性やコスト 

脱炭素化には、化石燃料を使用したエネルギーから再生可能エネルギーへの転換が必要不可欠です。しかし、現在の技術やインフラでは安定性やコストに課題が残ります。再生可能エネルギーとは太陽光や風力などで発電したものですが、季節や天候に左右されやすいです。また、大量供給には発電の効率化や蓄電技術が進化する必要もあります。 

産業分野の技術革新の遅れ 

脱炭素化には産業分野の技術革新が欠かせません。特に、鉄鋼や化学などはエネルギーを多く使用する産業のため、製造工程において多くのCO2が排出されます。脱炭素化には抜本的な技術革新が必要ですが、水素燃料への転換や新技術の実用化などは時間がかかります。コストも多くかかるため、大規模な投資と時間をかけなければ実用化できません。 

輸送分野における課題 

輸送分野はCO2排出量が多い分野です。そのため、自動車や航空、海運などの燃料転換が求められています。日本では、EV(電気自動車)への転換が進められていますが、電動化へのコスト負担が重く充電インフラ整備が進んでいないなど、課題は山積みです。特に、電動車両の普及にはインフラ投資や補助金など、国による支援が必要になります。 

改修には多額の費用が必要 

建築物におけるエネルギー消費を削減するために、既存見物の省エネ基準強化や既存建物の改修が求められています。たとえば、再生可能エネルギーの導入や省エネのために断熱性能向上などが必要ですが、改修には多額の費用がかかります。費用負担を軽くするため、政府支援や補助制度などが必要です。 

一部の企業への大きなハードル 

脱炭素を実現するための経済的なインセンティブとして、カーボンプライシング導入の動きが進められています。カーボンプライシングとは、炭素税や排出枠取引などのことです。CO2排出量に応じて課税されるようになるため、余計な負担を減らすためにも環境に配慮した経営が求められます。しかし、コスト負担が増えるため一部企業にとっては大きなハードルです。 

脱炭素社会を実現するための対策 

脱炭素社会を実現するために、どのような対策が必要なのでしょうか。脱炭素社会を目指すための対策は、大きく分けて5つです。以下では、脱炭素社会の実現に必要な対策を詳しく解説します。 

再生可能エネルギーの導入拡大 

脱炭素化に向けて、太陽光や風力、地熱などといった再生可能エネルギーの利用を増やすことが重要です。日本では2030年までに温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目標としており、再生可能エネルギーの利用を促進して比率を最大限引き上げる目標を掲げています。 

脱炭素化には、化石燃料への依存を減らすことが重要です。そのため、再生可能エネルギーへの転換を図ることで、CO2排出削減を実現することが求められます。 

水素やアンモニアの活用 

水素やアンモニアの活用も、脱炭素社会を目指すための対策です。水素やアンモニアは、CO2を排出しない次世代エネルギーとして高い注目を集めています。特に、精製業や発電所といったエネルギーを多く使用する産業分野での利用が進められています。 

政府では、水素の生産や輸送、利用などに関する技術開発やインフラ整備の支援、補助金や税制上の優遇などを通して、水素エネルギーの普及促進に努めています。

電動車の普及と充電インフラの整備 

自動車産業においては、ガソリン車から電気自動車(EV)への移行が進められています。2035年までに新車販売の電動化を100%にするという目標が掲げられており、充電設備の整備も強化されています。 

日本では自動車利用によるCO2排出量が多いため、電気自動車への移行は急務だといえるでしょう。電気自動車に移行することで、交通部門からのCO2排出の大幅削減が期待されます。 

省エネ技術の導入・建築の普及 

省エネ技術の導入やエネルギー効率を高める建築の普及は、エネルギー消費量の削減とCO2排出の抑制のために重要な施策です。特に、家庭やオフィスの断熱性能を向上させて、エネルギー消費量を減らす施策が推進されています。 

また、機密性能や断熱性能、省エネルギーなどを目的とした建築物であるZEBやZEHの導入、環境負荷の少ない資材の調達、建材利用量の削減なども、脱炭素化に向けては重要です。 

カーボンプライシングの導入 

カーボンプライシング(炭素税や排出権取引)の導入も必要です。カーボンプライシングを導入することにより、CO2排出に対する経済的なインセンティブが設けられるため、企業や個人に対して行動変容を促すことができます。 

カーボンプライシングの導入により、環境負荷の低い製品やサービスの利用が促進される状況になります。企業・個人レベルで環境配慮への意識が高まるため、持続可能な消費と生産のサポートが進むでしょう。 

まとめ 

脱炭素化は世界的に実現すべき目標であり、脱炭素社会に向けた取り組みが必要です。脱炭素化には、技術革新の遅れや輸送分野の課題、コストなどさまざまな課題があります。課題解決のためには国や企業、個人が意識を高めて、再生可能エネルギーや水素、電気自動車の普及といった対策を進めていくことが重要です。 

ゼロ炭素ポートは、自社だけでなく他社ソリューションとも協力しながらお客さまのニーズにお応えするサイトです。脱炭素社会に向けたソリューションから、脱炭素に関する情報などを提供しています。脱炭素社会に向けた取り組みをお考えなら、お気軽にお問い合わせください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA