2050年のカーボンニュートラル実現とは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味しており、気候変動を抑えるためにも脱炭素社会に向けた目標を指します。
本記事では、2050年のカーボンニュートラル実現について解説します。具体的な目標から取り組みまで解説するため、参考にしてください。
2050年カーボンニュートラルとは、2015年12月に採択されたパリ協定で掲げられたカーボンニュートラル実現を目指す年です。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味しています。地球温暖化などの気候変動を抑えるためには脱炭素社会の実現が必要ですが、脱炭素社会を目指すための目標が2050年カーボンニュートラルです。
カーボンニュートラル実現には、温室効果ガスの排出量削減や吸収作用の保全・強化が求められます。
カーボンニュートラル実現を目指すのがなぜ2050年かというと、地球温暖化による悪影響を食い止めるために、産業革命以降の気温上昇を1.5℃以内に抑えなければいけないからです。
地球温暖化の原因となる温室効果ガスは、化石燃料を燃やすことによって発生します。人々が活動することで、地球の平均気温は工業化前と比較して1℃上昇しているという現状です。このままのペースで地球温暖化が進んだ場合、2030年から2052年の間に気温上昇が1.5℃に達してしまう可能性があり、それを食い止めるために2050年を目標年としています。
世界中で脱炭素への意識が高まっており、さまざまな目標が設定されています。日本では、脱炭素に向けてどのような目標や方針を設定しているのでしょうか。ここでは、日本の脱炭素に向けた目標について詳しく解説します。
政府は2020年10月に、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。「排出量を全体としてゼロにする」という具体的な意味は、二酸化炭素を始めとして温室効果ガスの排出量をまったくなくすということではありません。
温室効果ガスの排出量から、植物や森林管理などによる吸収量を差し引いて、合計をゼロにすることを指しており、実質的な排出量をゼロにするという意味です。
日本では2030年度までに温室効果ガスを2013年度比で46%削減するという目標・方針も掲げています。この目標は、2021年10月に閣議決定された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」に盛り込まれたものです。
2050年カーボンニュートラルを目指すうえで必要かつ野心的な目標であるとして設定されたもので、さらに50%削減に向けて挑戦を続けていくこととして表明し、国連に提出しました。
2030年度までに、地方創生と脱炭素を同時実現するモデルとなる脱炭素先行地域を100か所以上創出・全国展開するという方針も政府では掲げています。目標を達成するために、再エネ・省エネ・畜エネに対して、長期的かつ大規模な投資需要が存在しています。
また、再エネや蓄電池、ZEBの実現や次世代型太陽電池、グリーン水素製造・利用など、地域の需要を可視化することも重要です。そのうえで、必要な投資を促進する施策を展開し、脱炭素と成長の実現につなげるとされています。
脱炭素とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスのなかでも、特に二酸化炭素(CO2)の排出をゼロにしようという取り組みです。脱炭素社会とは、脱炭素を目指していく社会のことであり、具体的には地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」にする社会を指します。
脱炭素社会以外に、低炭素社会というものもあります。低炭素社会とは、その名のとおり温室効果ガスの排出量の削減を実現する社会です。
脱炭素社会は、温室効果ガスの排出量を削減するだけでなく、排出が避けられないCO2を回収する仕組みを作り、排出量と吸収量を均衡させることで排出量の実質ゼロを目指します。一方、低炭素社会とは気候に悪影響が出ない水準で大気中の温室効果ガス濃度を安定化させる取り組みです。これにより、環境への配慮と生活の豊かさを実感できる社会を目指します。
脱炭素は、世界的に注目を集めています。それでは、一体なぜ脱炭素に向けた取り組みが必要なのでしょうか。ここでは、脱炭素に向けて取り組む必要性について解説します。
脱炭素は、地球温暖化の防止のために必要な取り組みです。人類の経済・産業活動によってCO2をはじめとする温室効果ガスの排出量は増えました。温室効果ガスは地球温暖化の要因となるため、温室効果ガスの排出量を減らすために脱炭素が必要です。
地球温暖化が進むと、異常気象や海面上昇、極地での氷の融解、生態系の変化などの悪影響が起こります。これにより、食料危機や農作物の生産量減少、利用可能な水の減少、生物の絶滅などが予測されます。
脱炭素は、化石燃料の資源を確保するためにも必要です。産業活動の活性化など世界の発展は、化石燃料を燃やして得られるエネルギーによって支えられてきました。しかし、石油や石炭、天然ガスといった化石燃料は無限ではありません。
このままのスピードで化石燃料を消費していくと、近い将来には資源がなくなると予想されています。化石燃料などの資源を長く使い続けるためにも、脱炭素が必要だといわれています。
脱炭素に向けて取り組むことは、企業にとってもさまざまなメリットがあります。主なメリットは、以下のとおりです。
・省エネによるコスト削減
・環境に配慮した取り組みによる消費者からの信頼獲得
・新市場への進出
・社員のモチベーション向上や人材獲得力の強化
・資金調達における優位性の獲得
脱炭素への取り組みを行うことで、企業イメージの向上やブランディングにつながるため、多くのメリットが得られます。
2050年脱炭素の実現のために、日本ではどのような取り組みを行っているのでしょうか。ここでは、3つの取り組みについて解説します。
日本では、再生可能エネルギーの導入を促進しています。2011年度の導入率は10.4%と低い水準にありましたが、2022年度には21.7%と約2倍にまで上昇しています。キリンホールディングスでは、2040年までに再生可能エネルギー100%を目標として宣言しており、国内工場の大規模太陽光発電設備導入などを行っています。
横浜市では「Zero Carbon Yokohama」を宣言しました。市庁舎で使用する電力の再生可能エネルギー100%を目指して取り組みを行うなど、官民問わず再生可能エネルギー導入が進められているようです。
グリーンファイナンスの促進とは、企業や自治体などが環境問題に取り組む際に金融面から支援しようという取り組みです。
環境省では、2013年に「一般社団法人グリーンファイナンス推進機構」を設立しました。この法人では、低炭素社会を実現するための取り組みを行う企業に対する出資、グリーンプロジェクトにかかる資金のために発行する債券であるグリーンボンドの発行支援などを行っています。
COOL CHOICE(クールチョイス)の推進とは、環境省が推進する国民運動のことです。地球温暖化対策に貢献する「賢い選択」を促すための取り組みで、具体的な例としては、以下が挙げられます。
・エコカーの購入
・エコ住宅の建築
・エコ家電への買い替え、利用
・高効率な照明への交換
・公共交通機関の利用
省エネを意識した自動車や住宅、家電などは地球温暖化対策として有効です。また、家庭におけるCO2排出量の約3割は自家用自動車だとされているため、CO2削減のために公共交通機関の利用も促進されています。
企業として脱炭素を目指す必要がありますが、どのような取り組みがあるのでしょうか。企業としての取り組みは、以下が挙げられます。
・太陽光発電や風力発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギーの導入
・LED照明の導入や契約電力の削減などの省エネ促進
・低炭素車の購入や社用車の電気自動車・ハイブリッド車への切り替え
・再生可能エネルギーなどの省エネ電力の購入
自社で太陽光発電などができない場合でも、再生可能エネルギーを購入することで脱炭素化を実現できます。
050年脱炭素(カーボンニュートラル)とは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる脱炭素社会に向けた目標です。2050年脱炭素を実現するためには、再生可能エネルギーの導入や省エネの促進、省エネ電力の購入などさまざまな取り組みがあります。地球温暖化の防止や資源の確保、企業としてのブランディングのためにも積極的に取り組みましょう。
ゼロ炭素ポートは、自社だけでなく他社ソリューションとも協力してお客さまのニーズにお応えするサイトです。脱炭素社会や省エネを実現するためのコラムからソリューション、CO2排出量計算ツールなどを提供しています。脱炭素社会に向けた取り組みをお考えなら、お気軽にお問い合わせください。
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA