脱炭素に向けた企業事例6選!注目されている理由やメリットなど解説 

目次

気候変動対策の一環として、脱炭素が世界的に注目を浴びています。脱炭素とは、企業活動や日常生活などで排出される温室効果ガスの排出量を、実質ゼロにする取り組みのことです。 

本記事では、脱炭素に向けて意欲的な取り組みを行う企業の事例を紹介します。脱炭素が注目される理由や取り組むメリットなども解説するので、参考にしてください。 

脱炭素(カーボンニュートラル)とは

脱炭素は、企業活動や日常生活で排出される温室効果ガスをゼロにする取り組みです。厳密な定義はありませんが、一般的に、脱炭素はカーボンニュートラルとほぼ同義で使用されます。環境省のホームページでも、両者は同じ概念を指す言葉として扱われており、「カーボンニュートラル(=脱炭素)」といった表記も見られます。 

脱炭素と低炭素の違い 

温室効果ガス(主にCO2)削減に関して、脱炭素と低炭素は目標が異なります。脱炭素は、温室効果ガスの排出量を完全にゼロにすることを目指す概念です。一方、低炭素の場合は、完全なゼロ化までは求めていません。 

つまり、脱炭素は「温室効果ガス排出量0%」を、低炭素は「温室効果ガス排出量を現状から大幅削減」を目標とする取り組みといえます。 

昨今、脱炭素が注目されている理由 

脱炭素が注目される背景には、地球環境への配慮という社会的責任だけではなく、企業価値の向上やコスト削減といった経営面でのメリットも存在します。以下では、脱炭素が注目される主な理由について解説します。 

地球温暖化を食い止めるため 

脱炭素が注目される主な理由は、地球温暖化の抑制です。地球温暖化の主な原因とされる二酸化炭素は、温室効果ガス全体の約8割を占めています。また、気温上昇と大気中の二酸化炭素濃度には、比例関係が認められています。 

産業革命以降、二酸化炭素排出量の増加に伴い、地球の平均気温は1.2度も上昇しました。21世紀末までに最大4.8度の気温上昇が起こる可能性も指摘されており、早急な対策が求められています。 

企業の評価向上やブランディングの強化につながる

脱炭素経営への積極的な取り組みは、企業イメージの向上やブランディングの強化につながる可能性があります。環境意識の高い消費者からの支持獲得はもちろん、取引先企業からの信頼度向上も期待できます。また、サステナブルな取り組みはメディアから注目されやすく、効果的な広報活動となるでしょう。 

光熱費や燃料費などのコストを削減できる 

脱炭素化への取り組みは、サプライチェーン全体でのエネルギー使用量の最適化を実現します。省エネ設備の導入や業務プロセスの効率化により、エネルギーコストを大きく削減可能です。 

省エネルギー設備への入替えには、国や地方自治体などの補助金を検討するとよいでしょう。補助金を活用すると、設備投資の初期費用を抑制しつつ長期的なコストメリットを得られます。 

企業が脱炭素化に向けて取り組むメリット

脱炭素化への取り組みは、多様なビジネス上のメリットをもたらします。まず挙げられるのが、エネルギーコストの大幅な削減です。古い設備の更新や業務プロセスの見直しを通じて、燃料費や光熱費などの運営コストを抑制できます。 

また、環境配慮型企業としてのブランド価値向上も期待できます。新規取引先の開拓や優秀な人材の確保、投資家からの信頼獲得などのチャンスを得られるでしょう。さらに、脱炭素経営による競争優位性の確立は、売上や受注の拡大にもつながります。 

日本が脱炭素化に向けて取り組んでいること 

日本では国や地方自治体、企業が連携しながらさまざまな取り組みを展開しています。ゼロカーボンシティやゼロカーボン・ドライブなど、把握しておきたい主な取り組みを解説します。 

ゼロカーボンシティ 

ゼロカーボンシティは、地方自治体が主導する「二酸化炭素の排出量実質ゼロ」を目指す取り組みです。主な取り組みとして、以下が挙げられます。 

・太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入促進 
・公共施設での省エネルギー設備の積極的な導入 
・都市緑化や森林保全による二酸化炭素吸収量の増加 
・電気自動車(EV)の充電設備の整備 
・公共交通機関の利用促進 

ゼロカーボン・ドライブ 

ゼロカーボン・ドライブは、自動車 走行時の二酸化炭素排出量をゼロにする取り組みを指します。主な取り組みは、以下のとおりです。 

・再生可能エネルギーで稼働する次世代自動車の普及
・再生可能エネルギーを活用した充電インフラの整備 
・水素ステーションの拡充 

次世代自動車には、EV、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)があります。 

ゼロカーボン・パーク 

ゼロカーボン・パークは、国立公園での脱炭素および脱プラスチックを推進し、持続可能な観光地づくりを目指す取り組みです。主な取り組みとして、以下が挙げられます。 

・園内でのEVや電動自転車(E-BIKE)の活用 
・太陽光発電など再生可能エネルギーの導入 
・地産地消の推進 
・使い捨てプラスチックの削減 
・エコツーリズムの実践 

取り組みは他にもさまざま 

日本の脱炭素化に向けた取り組みは、多岐にわたります。国民運動である「COOL CHOICE」では、環境配慮型の製品やサービスの選択、省エネ行動の実践など、日常生活での賢い選択を推進しています。 

また、次世代技術の開発も進行中です。例えば、水素・燃料電池技術の実用化、セルロースナノファイバーの活用、二酸化炭素を資源として再利用するカーボンリサイクル技術の確立など、革新的な取り組みが進められています。 

脱炭素化に向けて企業が取り組めること 

企業が本格的な脱炭素経営を実現するためには、包括的なアプローチが求められます。以下では、再生可能エネルギーの活用やエネルギー効率向上などについて、企業が実践できる主な取り組みを具体的に解説します。 

再生可能エネルギーの活用 

多くの企業は自社施設に再生可能エネルギー源を導入し、電力消費の脱炭素化を進めています。例えば、セブン&アイ・ホールディングスでは、店舗での自家発電設備の導入と、オフサイトPPA(電力購入契約)を活用して、事業活動における二酸化炭素排出量の削減を推進しています。 

エネルギー効率向上と省エネ設備の導入 

多くの企業が、省エネルギー技術の導入やエネルギー消費の効率化に意欲的です。例えば、東芝は「環境未来ビジョン2050」に基づき、製造プロセスの効率化や高効率設備の導入を推進しています。環境未来ビジョン2050では、「2030年までに温室効果ガスの排出量を2019年比で70%削減する」という目標が掲げられています。 

サプライチェーン全体のカーボンニュートラル化

脱炭素化は企業単体ではなく、サプライチェーン全体を通じて進めるべき取り組みです。例えば、味の素グループは、製品ライフサイクル全体で排出される温室効果ガスの削減を目指しています。仕入先との協働による環境負荷低減や、環境配慮型製品の開発、製造工程での再生可能エネルギーの導入など、包括的な取り組みを推進しています。 

脱炭素に向けた企業の取り組み事例 

いくつかの企業は、脱炭素に向けた目標を掲げ、再生可能エネルギーの活用や省エネ設備の導入などの施策を展開しています。取り組み事例を紹介するので、自社での脱炭素化を検討する際の参考にしてください。 

セブン&アイ・ホールディングス

セブン&アイ・ホールディングスは、環境負荷低減に向けた長期目標「GREEN CHALLENGE 2050」を策定し、積極的な脱炭素化を推進しています。 

同社は「2013年度比で店舗からの二酸化炭素排出量を80%以上削減する」という目標を掲げ、各店舗での再生可能エネルギーの導入やリサイクル資源の活用を加速させています。商品の容器包装についても、環境配慮型素材への切り替えを順次進行中です。 

東芝 

東芝は長期環境ビジョン「環境未来ビジョン2050」において、「2050年までに、製品の開発から廃棄までのバリューチェーン全体を脱炭素化する」という目標を掲げています。目標達成に向けた短期目標として「2030年までに、温室効果ガスの排出量を2019年比で70%削減する」という、具体的な中間目標も設定されています。 

※参考:脱炭素社会の実現に向けて(TCFD提言に基づく情報開示)|サステナビリティ|東芝 

三井不動産 

三井不動産は、不動産開発における包括的な脱炭素化を推進しています。例えば、新築および既存の建物において、エネルギー効率の向上や、再生可能エネルギーの積極的な導入を進行中です。建築時の二酸化炭素排出量削減にも注力しており、協力会社に対する削減計画書の提出義務化など、サプライチェーン全体を巻き込んだ取り組みを展開しています。 

セコム

セコムは、「セコムグループ カーボンゼロ2045」を掲げ、「2030年までに温室効果ガス排出量の45%を削減すること」という中間目標を設定しました。取り組みとしては、警備車両のEVや電動バイクへの転換を進めています。また、温室効果ガス全排出量の約7割を占めるオフィスの電力使用量を削減するため、省エネ機器の導入節電・省エネ活動にも取り組んでいます。 

味の素グループ 

味の素グループは、サプライチェーン全体で、温室効果ガス排出量の削減を推進しています。同社は、国際的な環境イニシアティブである「SBTi(Science Based Targets initiative)」の認定を取得し、科学的根拠に基づいた削減目標を設定しました。 

また、電力の100%再生可能エネルギー化や、環境配慮型の製品開発、容器包装のリサイクル促進などにも取り組んでいます。 

リコー 

リコーは、企業の再生可能エネルギー100%利用を目指す国際イニシアティブ「RE100」に、日本企業として初めて2017年4月に加盟しました。 

同社は「2050年までに、事業活動で使用する電力のすべてを再生可能エネルギーに切り替える」という目標を掲げています。自社施設への太陽光発電システムの導入や再生可能エネルギーの利用拡大を推進し、2030年までに使用電力の50%を、2050年には100%を再生可能エネルギー化することを目指しています。 

まとめ 

企業にとって、脱炭素化は避けられない取り組みといえます。本記事の事例を参考に、再生可能エネルギーの活用、エネルギー効率向上と省エネ設備の導入など、サプライチェーンも巻き込んだ施策を検討しましょう。 

ゼロ炭素ポートは、自社のサービスだけではなく他社のソリューションも含めて、お客さまの脱炭素への取り組みを総合的にサポートするサイトです。脱炭素に向けた取り組みをお考えの人は、ぜひゼロ炭素ポートをご活用ください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA