ゼロ炭素ポート

脱炭素に向けてできることは?企業・自治体の取り組み方を解説 

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2024年11月19日

世界全体で脱炭素社会の実現に向けた取り組みが進められています。しかし、大切な取り組みだとは感じていても、どうしたら脱炭素に貢献できるか分からない人も多いのではないでしょうか。本記事では、脱炭素の基本に触れつつ、企業、自治体ができる取り組みについて解説します。ぜひ参考にしてください。 

脱炭素とは?

脱炭素とは、地球温暖化の主な要因とされる温室効果ガスの排出量を、実質的にゼロにしていく取り組みのことです。温室効果ガスの代表的なものとしてCO2が挙げられます。 

「実質ゼロ」とは、排出量と吸収量を均衡させた状態です。森林による吸収や新技術の活用により、排出される温室効果ガスと、吸収・除去される温室効果ガスの量のバランスを取る施策が進んでいます。 

※参考:地域脱炭素とは|環境省 

脱炭素が必要な理由は? 

地球温暖化を抑制するためには、世界規模で連携して脱炭素に取り組む必要があります。ここでは、脱炭素が必要な理由を解説します。

温室効果ガスの排出量を減らすため

気象庁のデータによると、世界の年平均気温は1891~2023年にかけて、100年あたり0.76℃のペースで上昇を続けています。気温上昇の主な要因は、温室効果ガスです。 

このまま温暖化が進行すると、異常気象の頻発や食糧難、生態系の崩壊といった深刻な事態を招きかねません。危機的状況を少しでも緩和するためには、温室効果ガスの排出量を減らす脱炭素の取り組みが不可欠です。 

※参考:世界の年平均気温|気象庁 

※参考:Q8二酸化炭素の増加が温暖化をまねく証拠|国立環境研究所 地球環境研究センター 

脱炭素化が世界の共通課題となったため

2015年に採択されたパリ協定により、以下のように世界規模の長期目標が掲げられました。 

「世界的な平均気温上昇を工業化以前に比べて2℃より十分低く保つとともに(2℃目標)、1.5℃に抑える努力を追求すること(1.5℃目標)」 

「今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること」 

世界規模の目標を達成するためには、脱炭素の取り組みが不可欠です。日本政府も2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすると宣言しています。 

※引用:カーボンニュートラルとは|環境省 

※参考:2020年以降の枠組み:パリ協定|外務省 

企業が脱炭素のためにできること

脱炭素と経営課題の解消を両立させるために企業ができる、具体的な取り組みを紹介します。 

省エネ対策

企業の電力消費によるCO2排出は、排出量全体における大きな割合を占めています。個人の取り組みと同様に、節電や節水の徹底、クールビズの導入、エネルギー効率の高い設備への更新など、企業レベルでの省エネ対策を進め大規模な排出削減を図りましょう。 

再生可能エネルギーの開発・活用 

近年、自社施設への太陽光パネルの設置や、再生可能エネルギー由来の電力プランへの切り替えなど、具体的な行動を起こす企業が着実に増加しています。再生可能エネルギーは、有限である化石燃料とは違い、比較的短期間に再生が可能なエネルギーです。太陽の光や風の力、河川の流れ、生物由来の資源など、再生可能エネルギーの形態は多岐にわたります。 

従来の火力発電では、石油や石炭の燃焼により大量の温室効果ガスが排出されてきました。脱炭素社会の実現には、限りある化石燃料から、再生可能エネルギーへの転換が不可欠です。 

※参考:再生可能エネルギーの特徴|経済産業省 

自治体が脱炭素のためにできること 

脱炭素先行地域を中心に、自治体による脱炭素の取り組みが進行中です。脱炭素先行地域とは、地域の特性を活かしながら、脱炭素に向けた施策を積極的に展開する区域です。認定を受けた自治体には、国からの財政支援が提供されます。また、環境に配慮した街づくりを通じた地域の活力向上にも期待できるでしょう。 

※参考:脱炭素先行地域とは|環境省 

企業が脱炭素に取り組むメリット 

脱炭素化への取り組みは、企業の持続的な成長に欠かせません。企業が脱炭素に取り組むメリットを解説します。 

企業の競争力が高まる 

脱炭素化への取り組みを通じて開発された革新的な技術は、ビジネスチャンスを創出します。また、環境保全に積極的な企業姿勢は、企業イメージの向上にもつながります。さらに、環境配慮を重視する企業の方針は、従業員の共感を集めるでしょう。従業員の仕事への意欲が高まると、組織全体の活性化が期待できます。 

コスト削減につながる 

省エネ対策を進めると、事業活動における電気代やガス代などの光熱費を抑制できます。エアコンの温度を最適化する、不要な照明はこまめに消すなど、身近なところから省エネに取り組むとよいでしょう。工場や事務所で大規模な設備の見直しを実施する場合、初期投資はかかりますが、長期的に見て大きなコスト削減効果が見込めます。 

必要な人材を確保しやすくなる 

環境問題に積極的に取り組む企業姿勢は、社会的な認知度を高めます。このため、地球環境への配慮に共感する優秀な人材からの応募が増え、必要な人材を採用しやすくなります。 

資金を獲得しやすくなる

脱炭素化への取り組みは、金融機関からの融資判断にプラスとなり、資金調達の機会が広がります。また、環境対策に関する政府の補助金を活用できる可能性も出てきます。さらに、ESG投資への関心が高まるなか、環境面での積極的な姿勢は投資家からの評価を高め、新たな投資を呼び込むチャンスを得られるでしょう。 

企業が脱炭素に取り組まないリスク 

脱炭素に取り組まない企業は、以下のリスクに直面する恐れがあります。 

・ビジネスチャンスの損失 
・人材確保の難化 
・資金調達の難化 

環境対策への消極的な姿勢は、ビジネスチャンスだけではなく、優秀な人材や必要な資金の獲得が困難になる可能性があります。 

脱炭素の取り組みに疑問を持つ人もいる 

脱炭素化は世界的な目標として掲げられていますが、実現できる可能性に疑問を投げかける声も少なくありません。ここでは、疑問を感じさせる主な理由を解説します。 

火力発電にかわる発電方法が普及していないため 

火力発電に代わる主力電源として、安定的な電力供給が可能な、再生可能エネルギーの実現は難しいとの指摘があります。 

資源エネルギー庁は、2022年度において日本国内で使用されたエネルギーのうち、約83.4%が化石エネルギーによるものであったと報告しました。また、発電能力の高い原子力発電については、放射性廃棄物の処理方法が確立されていないことが課題となっています。 

このような状況から、太陽光や風力など再生可能エネルギーの技術革新と、普及促進が急務とされています。 

※参考:令和4年度(2022年度)におけるエネルギー需給実績(確報)|資源エネルギー庁 

人口増加に伴い温室効果ガスはさらに増えると予測されるため 

世界の人口増加に伴って温室効果ガスの排出量も増大するため、現在の脱炭素への取り組みだけでは不十分ではないかという指摘もあります。国連の統計では、世界人口は2030年までに85億人に達し、2050年には97億人まで増加すると予測されています。火力発電に代わる再生可能エネルギーの技術革新と普及拡大は、やはり重要な課題といえるでしょう。 

※参考:人口と開発|国際連合広報センター 

まとめ 

脱炭素は世界の共通課題であり、個人・企業・自治体それぞれができることは多々あります。特に企業は、脱炭素への取り組みを通じて持続的な成長を実現できる機会を得られます。取り組みの意義を理解し、それぞれの立場で脱炭素に貢献していきましょう。 

「ゼロ炭素ポート」は、自社のサービスだけではなく他社のソリューションも含めて、お客さまの脱炭素への取り組みを総合的にサポートするWebサイトです。脱炭素に向けた取り組みをお考えの人は、ぜひゼロ炭素ポートをご活用ください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA