脱炭素経営の概要やメリット|実施手順や二酸化炭素の排出量を削減する方法も解説

目次

昨今では、企業も地球温暖化への取り組みに注力する傾向にあり、脱炭素経営に取り組む会社が増加しています。 

本記事では、脱炭素経営に取り組む際に、押さえておくべき基礎知識やメリットを解説します。脱炭素経営に取り組む手順や、二酸化炭素の排出量を減らす方法についても詳しく紹介するため、脱炭素経営を検討中の人はぜひ参考にしてください。 

脱炭素経営に関する基礎知識

まずは、脱炭素経営の基礎知識を理解しましょう。ここでは、脱炭素経営の基礎知識についてわかりやすく解説します。 

脱炭素経営とは 

脱炭素経営とは、気候変動対策の視点を取り入れた企業経営のことを指します。 

気候変動対策は、企業がCSRのために実施するものであり、コストがかかる活動であるとされてきました。しかし、脱炭素経営による気候変動対策は、単にコストがかかる活動というわけではありません。やり方次第では、企業の成長のチャンスとなり、事業の持続可能性を脅かすリスクを低減する取り組みであると位置づけられています。 

参考:脱炭素経営とは | グリーン・バリューチェーンプラットフォーム | 環境省 

脱炭素経営が注目されている背景

昨今の二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガス増加の影響により、地球温暖化が進んでいます。地球の気温上昇が原因となり、豪雨や干ばつなど、さまざまな異常気象が増えていることも大きな問題です。こうした異常気象は、生態系だけでなく人類の経済活動にも、深刻な影響を及ぼしています。 

そのため、持続可能な社会の実現につながる脱炭素経営は、地球温暖化を食い止める手段として注目されています。 

脱炭素経営のメリット 

脱炭素は、地球温暖化の対策として有効な手段です。しかし、脱炭素経営に取り組むことにより、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは5つのメリットを解説します。 

光熱費や燃料費を削減できる 

脱炭素経営の取り組みの一環として、自社のエネルギー消費が多い施設や設備を更新したり、生産プロセスを見直したりすれば、光熱費や燃料費のコストダウンが可能です。また、自社で再生可能エネルギーを使用した電気を使えば、さらに電気料金を削減できます。昨今の電気料金の値上げに対しても、効果的な対策になるでしょう。 

訴求力向上と新規顧客の獲得につながる 

グローバル展開している企業は、脱炭素化の時流に敏感です。自社内での取り組みや意識強化に加え、取引先に対しても二酸化炭素の排出削減を求めるケースが増えている傾向にあります。先行して脱炭素経営に取り組めば、そのような企業への訴求力が高められるため、信頼度が上がって新規顧客の獲得にもつながるでしょう。 

知名度が向上する 

脱炭素経営に取り組んで一定の成果をあげた企業は、国や自治体から表彰されたり、さまざまなメディアに取り上げられたりします。会社が多くの人に認知される機会が増えれば、知名度が向上し、ビジネスチャンスが広がる可能性もあります。また、削減したエネルギーコストを自社製品の販売強化や生産にあてることも、顧客への認知度向上につながるでしょう。 

資金調達が有利になる 

最近では、地球温暖化対策の実施状況が、投資の判断基準に組み込まれるようになりました。そのため、脱炭素経営の実施をしたり、実施による成果をあげたりすると、資金調達で有利に働く場合があります。また、金融機関でも、脱炭素経営を実施している企業を優遇する取り組みが行われています。 

従業員のモチベーションや人材獲得に好影響をもたらす 

脱炭素経営により、社会問題や気候変動に積極的に取り組む姿勢を従業員にも示せます。それによって、従業員からの会社への信頼度が上がり、従業員との関係構築やモチベーションアップにもよい影響をもたらすでしょう。また、自社の脱炭素に対する活動が社外にも伝われば、気候変動問題に関心がある人から評価され、働きたいと思う人が集まるようになります。 

脱炭素経営に取り組まない場合のリスク 

脱炭素経営に取り組まないのは、コスト削減や社内外へのイメージアップを図るチャンスを逃す以外に、経営へのリスクもあります。 

例えば、温対税(地球温暖化対策税)の負担が大きくなるリスクや、省エネ法の規制対象になる可能性が高くなる可能性が考えられるでしょう。また、脱炭素経営に取り組まないことで企業イメージがダウンすれば、取引先を失い、売り上げが低下するリスクがあります。投資家や求職者からの評価を損なう恐れも考えられます。 

脱炭素経営に取り組む手順 

はじめて脱炭素経営に取り組む場合は、次の手順を参考にして進めましょう。ここでは、脱炭素経営に取り組む手順について解説します。 

情報収集 

まずは、脱炭素経営について情報収集して基本知識を身につけましょう。得る情報の例としては、政府の政策や用意されている補助金はどうかや、脱炭素に対する消費者や取引先のニーズはどうかなどの確認が重要です。政府が公開しているハンドブックや事例集にも有益な情報があるため、調べてみるとよいでしょう。 

また、地方自治体や金融機関に設けられている相談窓口の利用や、脱炭素経営に関するイベントやセミナーに参加してみるのも、情報収集に効果的です。 

経営方針の検討 

情報収集ができたら、自社の脱炭素経営の方針を検討していきましょう。方針を決めるのと並行して、集めた情報のなかから自社が実施できることを明確にしていきます。そして、その取り組みは、会社にとってどのような付加価値を創出できるかを考えることも必要です。 

取り組みの例としては、新たな仕入先を開拓して商品の原料の転換を図ること、脱炭素に関する情報を社内外に発信することなどが挙げられます。 

自社の二酸化炭素の排出量を算出 

脱炭素経営の施策を決めるためには、自社の二酸化炭素の排出量を算出する必要があります。二酸化炭素の排出量は、エネルギーの使用量×係数で求められます。算出対象のエネルギーは、主に電気や燃油(ガソリンや灯油など)、都市ガスで、日報や生活インフラの請求書などを参考に情報収集していきましょう。なお、国や自治体からも算出ツールが提供されています。 

また、自社ではどのような事業や設備が二酸化炭素排出の原因になっているかを特定しておくと、効率よく改善できるでしょう。 

計画策定 

次に、二酸化炭素の排出量を削減する具体的な施策を考えるために、まずは自社の二酸化炭素排出の特徴を把握する必要があります。時期や事業所・設備によって排出量に変化や差がないかや、設備の台数・能力・設定は適正かなどを詳しく調べましょう。 

データが取れたら、定量的な目標を立てます。その後、具体的に二酸化炭素の排出量を削減する施策を洗い出します。そして、実行可能な内容をリストアップし、実施計画を立て、着手しやすいものからはじめましょう。 

計画の実行 

これまでに策定した計画に沿って、実際に脱炭素経営を実施しましょう。施策の内容によっては、設備投資が必要な場合もあります。導入の際は、設備メーカーやリース事業者、金融機関に相談し助言してもらいながら進めましょう。設備の導入は、自社の財務状況や採算性を考慮して投資額を決定し、国や自治体の支援制度の活用も検討します。 

効果測定と見直し

計画の実施中は、定期的に自社の二酸化炭素の排出量を計測するようにしてください。その際、設定した目標を達成できているか、できていない場合は目標と現実にどのくらいの差があるかも確認しましょう。 

また、進捗具合や結果に応じて、情報収集の段階から脱炭素経営の取り組みを見直す必要があります。このサイクルを継続的に回すことにより、脱炭素経営の取り組みが洗練されます。 

二酸化炭素の排出量削減方法の具体例 

二酸化炭素の排出量を削減するには、以下の方法が挙げられます。 

省エネ 

省エネ対策の具体的な方法には、以下のものが挙げられます。 

・エアコンの運転時間短縮や設定温度の見直し 
・不要な時間や場所の消灯やセンサーライトの導入 
・空調の運転停止、スケジュール運転 
・高性能な空調設備やLED照明、冷蔵設備の導入 
・窓の断熱性の改善など 

燃料転換

燃料転換とは、使用するエネルギーの種類を、より二酸化炭素の排出量が少ない燃料に替えることです。具体的な取り組みの例には、以下のものがあります。 

・重油ボイラーを都市ガスボイラーに替える 
・焼却炉を電気加熱炉にする
・営業車や運搬車を、ハイブリッド車や電気自動車に替えるなど 

再エネ電気の調達 

再エネ電気の調達には、次の方法があります。 

・二酸化炭素を排出しない発電由来の電力を供給している電力会社と契約を検討する 
・太陽光発電を導入して、事業に必要な電力を自社でまかなう 
・オンサイトPPAモデルを活用する 
・再生可能エネルギー電力証書を購入するなど 

脱炭素経営に関する取り組み 

最後に、脱炭素経営に関する取り組みを3つ紹介します。 

TCFD 

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)は、​​2015年に金融安定理事会によって、企業の気候変動対策に関する取り組みの情報開示を推進する国際的な組織です。日本国内でも、数多くの大企業や中小企業が、TCFDの取り組みに賛同しています。 

日本国内では、TCFD研究会が開催されたり、企業の効果的な情報開示や開示された情報を、金融機関等の適切な投資判断につなげるための取り組みについて、議論が行われたりしています。 

参考:気候変動に関連した情報開示の動向(TCFD) (METI/経済産業省) 

SBT

SBTは、企業が設定する温室効果ガスの排出量削減目標です。パリ協定で定められた目標に沿った目標設定とその実行が必要とされます。認定を受ければ、パリ協定に整合する持続可能な企業であることを、さまざまなステークホルダーに向けてアピールできるでしょう。現在、日本国内でも、さまざまな企業がSBTに取り組み認定を受けています。 

参考:SBT(Science Based Targets)について|環境省 

RE100 

RE100は、企業が自社の事業活動に必要な電力を、100%再生可能エネルギーにすることを目標とする国際的な取り組みのことです。現在、日本の環境省が世界初の公的機関のアンバサダーになっています。また、さまざまな企業がRE100に参加しています。 

参考:環境省RE100の取組 | 地球環境・国際環境協力 | 環境省 

まとめ 

脱炭素経営は、取り組みの内容によっては、設備投資に初期費用がかかることもあります。しかし、光熱費や材料費のコスト削減や、社内外からの評価につながるなど、メリットも多くあります。本記事で紹介した取り組み方の流れを参考に、自社でも独自の取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。 

会社で脱炭素経営をはじめる際は、脱炭素経営に関するご相談を承っている東京ガスまでお問い合わせください。また、自社のみならず他社ソリューションとも協力し、お客さまのニーズにお応えするサイト「ゼロ炭素ポート」でも、さまざまな情報発信や導入事例を紹介しています。職場での取り組みにぜひお役立てください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA