ゼロ炭素ポート

脱炭素ビジネスとは?メリット・事例・すぐ始められる取り組みをわかりやすく解説 

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2024年11月15日

近年、脱炭素ビジネスに多くの企業が注目しています。しかし、脱炭素ビジネスの概要やメリットをまだよく知らない人もいるでしょう。この記事では、脱炭素ビジネスの概要について詳しく解説します。脱炭素ビジネスの事例や具体的な取り組みも紹介するため、ぜひ参考にしてください。 

脱炭素ビジネスとは? 

脱炭素ビジネスとは、どのような取り組みなのでしょうか。以下で、詳しく解説します。 

概要・具体的な事業例 

脱炭素ビジネスとは、社会の脱炭素に貢献するための取り組みです。企業が事業活動で排出する二酸化炭素を削減し、地球温暖化の防止につなげる狙いがあります。 

脱炭素を実現できる商品やサービスを開発するだけでなく、脱炭素のための技術の開発も脱炭素ビジネスに該当します。また、脱炭素に取り組む企業への投資や資金援助なども同様です。さらに、企業の脱炭素を支援するコンサルティング業も脱炭素ビジネスに含まれます。 

脱炭素ビジネスが注目されるようになった背景 

脱炭素ビジネスに、多くの企業が注目するようになった理由は、地球温暖化によるさまざまな問題が顕著になったためです。温室効果ガスが増加した結果、地球の平均気温が上昇しました。それに伴う異常気象や健康被害が問題になっており、解決策として脱炭素が重視されています。 

また、パリ協定では、世界の平均気温の上昇を1.5〜2℃に抑えるという目標が掲げられました。従来は、二酸化炭素の排出量を減らす低炭素社会の実現が目指されていましたが、それだけではパリ協定の目標を達成できない可能性が高いです。そこで現在では、二酸化炭素の排出量をゼロにする脱炭素社会の実現が目指されています。 

※参考:今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~|経済産業省 

脱炭素ビジネスに取り組むメリット 

脱炭素ビジネスには、さまざまなメリットがあります。ここでは、具体的なメリットをあげて解説します。 

コストが削減できる 

脱炭素ビジネスには、コストの削減が期待できます。たとえば、再生可能エネルギーを活用すると燃料費や光熱費の削減になり、企業活動にかかるコストを減らせます。 

また、既存の設備を見直して省エネルギーで稼働できる設備に切り替えれば、従来よりも少ないエネルギーで商品やサービスを提供可能です。ただし、実際に導入する際は、設備にかかる費用と削減できるコストを比較して検討する必要があります。 

資金を調達しやすくなる 

脱炭素ビジネスに取り組むと、投資家から資金を集めやすくなります。ESG投資は、環境に配慮したビジネスを展開する企業に対する投資です。脱炭素ビジネスもESG投資の対象に含まれており、投資家が注目する可能性は高いといえます。 

また、銀行からの融資、政府からの補助金、支援などを希望する際も、脱炭素ビジネスの取り組みが評価されるケースも少なくありません。一部の銀行では、脱炭素ビジネスに取り組む企業向けの融資も扱っています。 

売上・知名度がアップする 

脱炭素ビジネスに着手すれば、積極的に環境問題に取り組んでいる企業だという印象が強まります。近年は価格だけでなく、環境に対する配慮を重視して商品やサービスを選ぶ消費者も、増えてきました。そのため、脱炭素ビジネスに取り組む企業は消費者から評価されやすく、売上アップを期待できます。 

また、脱炭素ビジネスの取り組みは自社のアピールポイントになるため、企業の知名度やイメージ向上に役立ちます。 

脱炭素ビジネスに取り組むデメリット 

脱酸素ビジネスには、デメリットといえる部分もあります。ここでは、具体的にどのようなデメリットがあるか解説します。 

導入コストがかかる 

脱炭素ビジネスのために、温室効果ガスの排出量が少ない設備を導入するには、まとまったコストがかかります。初期費用に加え、メンテナンスのための維持費も必要です。すでに触れたとおり、設備の導入にあたっては、設備にかかる費用と削減できるコストの比較が不可欠です。政府の補助金を利用できる可能性もあるため、情報を集めて検討しましょう。

サプライチェーンの協力を要する 

脱炭素ビジネスは、自社の力だけでは実現できません。基本的にサプライチェーンの協力を得て取り組みます。取引先が脱炭素ビジネスに乗り気でない場合は、取引内容の変更も検討する必要があります。状況によっては、脱炭素ビジネスのために新しい取引先を探さなければなりません。 

脱炭素ビジネスへの着手をきっかけに、既存の取引先との関係が悪化する恐れもあるため、慎重な判断が求められます。 

実際に取り組んだ企業の事例5選 

 実際に多くの企業が脱炭素ビジネスに取り組んでいます。ここでは、具体的な事例を紹介します。 

トヨタ自動車 

トヨタ自動車は「トヨタ環境チャレンジ2050」を掲げており、その一環として脱炭素ビジネスに取り組んでいます。具体的には、太陽光発電や風力発電などにより、工場から排出する二酸化炭素を削減しました。また、新車の平均走行時の二酸化炭素の排出量について、2050年までに2010年度比で90%削減するとしています。 

大川印刷

大川印刷は、弁当のパッケージをはじめとする印刷を手がける会社です。印刷資材の製造や印刷の工程で発生する二酸化炭素について、カーボンオフセットを実施しています。カーボンオフセットとは、発生させた温室効果ガスを相殺する方法です。同社では、他社の二酸化炭素の削減分を購入して相殺を行っています。 

また、カーボンオフセットの考え方を取り入れて作られたインキを使用し、インキによる二酸化炭素の排出を事実上ゼロにしました。 

セブン&アイ・ホールディングス 

セブン&アイ・ホールディングスでは、店舗の運営により排出する二酸化炭素の量を2030年までに2013年度比で50%、2050年までに実質ゼロにする目標を掲げています。具体的な取り組みとしては、店舗の電気使用量の削減、従業員に対する環境教育、太陽光パネルの導入、LED照明の利用などがあげられます。 

鈴廣蒲鉾

鈴廣蒲鉾では、グループ全体の二酸化炭素の排出量について、2025年までに2019年度比で23%削減するとしています。目標の達成に向け、工場の屋上に太陽光パネルを660枚設置しました。その結果、板かまぼこの製造ラインで使用する電力の約80%は、太陽光発電でまかなっています。 

アシックス 

アシックスは、2050年までに、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするための取り組みを展開しています。2023年9月には、製造過程から廃棄までに発生する二酸化炭素の量が、わずか1.95kgのスニーカーを発売しました。温室効果ガスの排出量が世界で最も少ないスニーカーです。 

また、MIT(マサチューセッツ工科大学)とも協力し、二酸化炭素の削減を目指しています。 

脱炭素ビジネスのためにできること 

脱炭素ビジネスを実現するには、具体的に何をすればよいのでしょうか。以下で、詳しく解説します。 

設備を見直す 

脱炭素ビジネスのためには、設備の電化や水素エネルギーの利用などが必要です。既存の設備を見直せば、二酸化炭素排出量の削減につながります。新しい設備を導入するにはコストがかかりますが、二酸化炭素の排出量を大幅に削減可能です。 

脱炭素ビジネスに向けた設備の導入にあたっては、政府の補助金・助成金や金融機関の融資を活用できる可能性があります。長期的な視点から考え、設備の見直しも積極的に検討しましょう。 

ITツールを活用する

Tツールの活用によりペーパーレス化すれば、脱炭素を推進できます。また、ITツールの活用とともにリモートワークを取り入れると通勤が必要なくなり、さらなる脱酸素の促進が可能です。 

近年は、脱炭素ビジネスをサポートするためのITツールも増えてきました。たとえば、温室効果ガスの排出量を計算して可視化できるツールも存在します。ITツールを有効活用すると、効率的に脱炭素ビジネスを展開できます。 

専門家からサポートを受ける

脱炭素ビジネスとして、具体的に何を始めればよいかイメージできない場合は、専門家への相談がおすすめです。現在では、脱炭素ビジネスを専門的に扱うコンサルタントも存在します。アドバイスを受けるには費用がかかりますが、課題の発見から解決まで徹底的にサポートしてもらえるため、安心です。 

脱炭素先行地域で求められていること 

脱炭素ビジネスに取り組むうえでは、脱炭素先行地域についても理解しておくべきです。以下で、詳しく解説します。 

脱炭素先行地域とは 

脱炭素先行地域とは、2050年のカーボンニュートラルに向け、地域脱炭素ロードマップをもとに環境省が公募している地域です。地域の特性に応じて、2030年度目標に整合する削減を実現する地域が該当します。具体的には、2030年度までに民生部門(家庭部門・業務その他部門)において、電力消費に伴う二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすることが求められます。 

脱炭素先行地域は、2025年までに100か所選出される予定です。脱炭素先行地域に選ばれた場合、支援金を受け取れます。 

※参考:脱炭素先行地域|環境省 

選定された地域で行われている取り組み 

すでに脱炭素先行地域に選定された地域では、さまざまな取り組みが始まっています。たとえば、兵庫県尼崎市では、太陽光発電や蓄電池の導入により、電力の最大限の自家消費を推進しています。他の地域でも、小型バイオガス発電で廃棄物を自家処理したり、風力発電の売電収入を地域に還元したりする取り組みが進行中です。 

まとめ 

脱炭素ビジネスは、社会全体で大きな注目を集めています。環境へ配慮できるだけでなく、コストの削減や売上アップなどのメリットも期待できます。さまざまな取り組みができるため、自社に合う方法を取り入れましょう。 

ゼロ炭素ポートは、脱炭素のためのさまざまな情報を提供しているWebサイトです。さまざまなソリューションを紹介しており、各企業が目指す脱炭素の取り組みを支援しています。脱炭素をスムーズかつ適切に実現するために、ぜひご活用ください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA