ゼロ炭素ポート

脱炭素とは?企業が取り組むメリットや方法、国内企業の事例などを紹介 

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2024年11月15日

世界中で、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが行われています。社会の注目が高まるにつれ、企業が脱炭素に取り組む重要性も高まっているといえるでしょう。 

本記事では、脱炭素についてわかりやすく解説するとともに、企業の取り組み事例などを紹介します。 

脱炭素とは 

脱炭素とは、一体どのようなものを指すのでしょうか。ここではまず、脱炭素の概要から解説します。 

温室効果ガスを実質ゼロにする取り組み 

脱炭素とは、温室効果ガスの1つであるCO2(二酸化炭素)の排出量を、実質ゼロにしようという取り組みです。二酸化炭素の排出量を完全なるゼロにすることは難しいので、「実質ゼロ」を目標に掲げています。また、脱炭素が実現された社会を、脱炭素社会と呼びます。 

脱炭素社会は世界共通の目標 

1997年に採択された、「京都議定書」のあとを継ぐかたちで2015年に成立した「パリ協定」では、世界約200か国が脱炭素社会の実現に向けた取り組みに合意しました。これにより、脱炭素社会の実現は、世界共通の目標になったといえるでしょう。 

脱炭素に注目が集まる背景 

世界中で脱炭素に注目が集まる理由は、主に「地球温暖化の進行」と「化石燃料の枯渇」の2つです。ここでは、脱炭素に注目が集まる背景について解説します。 

地球温暖化の進行

温室効果ガスには、地表の熱が宇宙に逃げることを妨げる働きがあります。これにより引き起こされる現象が、いわゆる「地球温暖化」です。地球温暖化が進行すると、海面上昇や気候変動による洪水・干ばつなど、地球環境や私たちの生活にさまざまな影響を及ぼすことが懸念されます。 

実際に、近年は日本だけでなく、世界各国で異常気象による深刻な被害が報じられています。温暖化対策は、人類にとって喫緊の課題といえるでしょう。 

化石燃料の枯渇 

生活や経済活動に欠かせないエネルギーとして使われる化石燃料ですが、化石燃料を燃焼させると空気中の二酸化炭素が増え、地球温暖化が進行すると考えられています。 

また、化石燃料は有限の資源です。化石燃料ができるまでには、数千年〜数億年という途方もないほどの年月が必要です。人類がこのままのペースで消費すると、近い将来枯渇するとされています。二酸化炭素を排出する化石燃料への依存を減らすことは、化石燃料の節約にもつながるため、エネルギー資源の枯渇に対応する意味でも、脱炭素の重要性が高まっています。 

脱炭素とカーボンニュートラルの違い 

温室効果ガスの削減に関するトピックスでは、しばしば「カーボンニュートラル」という言葉が登場します。脱炭素と似たような場面で用いられるので混同されがちですが、両者は異なる意味を持つ言葉です。 

ここでは、脱炭素とカーボンニュートラルの違いについて解説します。 

カーボンニュートラルとは 

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質ゼロを目指す取り組みを指します。脱炭素社会を実現するうえでも重要な概念ですが、両者は厳密には異なる概念です。 

脱炭素との違い 

脱炭素とカーボンニュートラルの違いは、「対象」と「取り組み内容」の2点です。脱炭素が二酸化炭素を対象とするのに対し、カーボンニュートラルは二酸化炭素を含めた温室効果ガス全体を対象とします。 

また、脱炭素は二酸化炭素の排出を減らす取り組みです。一方、カーボンニュートラルは排出量の削減だけでなく、森林保護をはじめとする方法で二酸化炭素の吸収量を増やすという2つのアプローチで、温室効果ガスの実質ゼロを目指すことをいいます。 

脱炭素社会の実現に向けた世界と日本の動向

ここでは、脱炭素社会の実現に向け、世界各国が掲げる目標や、日本の取り組みを紹介します。 

世界各国が掲げる目標 

「アメリカ」「イギリス」「EU(フランス・イタリア)」「中国」が掲げる中長期目標(2023年12月時点)は、以下のとおりです。 

  中期目標  長期目標 
アメリカ  2030年までに温室効果ガス排出量を50〜52%削減(2005年比)  2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロ 
イギリス  温室効果ガス排出量を2030年までに少なくとも68%削減、2035年までに78%削減(1990年比)  
EU(フランス・イタリア)  2030年までに温室効果ガス排出量を少なくとも55%削減(1990年比) 
中国  2030年までに二酸化炭素排出量を削減に転じさせ、GDP当たり二酸化炭素排出量を65%超削減( 2005年比)  2060年までに二酸化炭素排出量実質ゼロ 

※参照:国内外の最近の動向について(報告)|環境省 

日本の動向や取り組み 

日本では、2020年に菅首相(当時)が、2050年までにカーボンニュートラル社会の実現を目指すと宣言しました。また、日本は、2013年から2030年度までに温室効果ガス排出量を46%削減するという目標を掲げています。さらに、2021年には「改正地球温暖化対策推進法」が成立し、地域における再生可能エネルギーの活用や企業の脱炭素経営を、国を挙げて後押ししています。 

そのほかにも、地域脱炭素ロードマップや脱炭素ガイドラインの策定、カーボンプライシングの導入など、脱炭素社会の実現に向けさまざまな取り組みを行ってきました。 

企業が脱炭素経営に取り組むメリット 

脱炭素経営とは、気候変動対策(≒脱炭素)を考慮した企業経営のことです。近年は社会における責任を果たすため、脱炭素の視点を取り入れた経営戦略をとる企業が増えています。 

企業が脱炭素経営に取り組む主なメリットは、以下の3点です。 

売上・受注の拡大

脱炭素経営に取り組む企業は、同じく脱炭素経営に取り組む企業から取引相手に選ばれる可能性が高まります。とくに、グローバルに事業を展開する企業は、サプライヤーに対しても脱炭素への取り組みを求める傾向があります。そのため、脱炭素に取り組むことは、自社の売上や受注の拡大につながるといえるでしょう。 

外部からの評価の向上 

脱炭素に取り組む企業は、投資家からの評価も上がりやすい傾向があります。また、近年は脱炭素への取り組みが金融機関の投資判断の材料にもなっており、より好条件での資金調達が叶う可能性もあります。さらに、社会貢献への積極性は求職者へのアピールポイントにもなり、人材の獲得にもつながる点もメリットです。 

コスト削減 

省エネを目的とした取り組みにより消費エネルギーが抑制されれば、エネルギーコストの削減を達成しやすくなります。燃料費や光熱費などをカットできる点も、脱炭素経営に取り組むメリットといえるでしょう。 

脱炭素経営に取り組む方法 

脱炭素経営に取り組む方法としては、以下のものが挙げられます。 

・国際イニシアチブへの参加 
・技術や設備の導入 
・オフィス環境や業務の見直し 

以下で、詳しく解説します。 

国際イニシアチブへの参加 

企業の脱炭素化を促進することを目的とした国際イニシアチブには、さまざまな種類があります。 

例えば、人間活動のエネルギーを100%再生可能エネルギーでまかなうことを目標とする「RE100」が有名です。こうしたイニシアチブに参加することは、脱炭素経営への取り組みをステークホルダーにアピールすることにもつながります。 

技術や設備の導入 

脱炭素につながる技術や設備を導入することも大切です。例えば、太陽光発電設備や低炭素車の購入、電力監視システムの導入、遮熱性の高い塗料の使用などが考えられます。 

オフィス環境や業務の見直し 

白熱電球と比べて消費電力が小さいLED電球の採用や、空調の設定温度の見直しなどの取り組みも検討してみましょう。 

また、少し意外なところでは、業務のペーパーレス化も脱炭素につながります。業務で使用した大量の紙は、定期的に処分しなければなりません。しかし、不要になった紙を焼却すると、それによって二酸化炭素が排出されてしまいます。また、紙は木を原料とするため、ペーパーレス化を進めることは、空気中の二酸化炭素を吸収する木の保全にもつながるでしょう。 

脱炭素経営に取り組む国内企業事例

ここでは、脱炭素経営に取り組む国内企業の事例を紹介します。 

オムロン株式会社 

オムロン株式会社は、「オムロンカーボンゼロ」を設定し、2024年度に温室効果ガスを68%削減、2050年度に温室効果ガスをゼロにするという目標を掲げています。脱炭素に関連する各種業界団体やイニシアチブにも参画しており、脱炭素経営に積極的に取り組む日本企業の1つです。 

近年は、自己託送方式の送電システムの導入により、再生可能エネルギーをより多くの事業所で利用できる体制の構築に成功しました。 

株式会社セブン&アイ・ホールディングス 

株式会社セブン&アイ・ホールディングスでは、2030年までに二酸化炭素排出量50%削減、2050年までに排出量ゼロの目標を掲げています。その目標の実現に向け、全国9,000店舗以上で太陽光パネルを設置しました。ほかにも、太陽光発電の蓄電池やLED照明の導入により、省エネと再生可能エネルギーの活用を推進しています。 

キリンホールディングス株式会社 

キリンホールディングス株式会社では、2050年までに、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量をネットゼロにするという目標を掲げています。 

複数の工場と全営業拠点で購入する電力を再生可能エネルギー100%にしているほか、9か所の工場に大規模太陽光発電設備を導入しました。ほかにも、容器の軽量化による、輸送時の温室効果ガス排出量削減といった取り組みを実施しています。 

まとめ

脱炭素とは、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするための取り組みのことです。脱炭素は世界が一丸となって取り組むべき共通目標であり、日本でもさまざまな施策が行われています。また、企業が脱炭素に取り組むと、売上・受注の拡大や外部評価の向上など、さまざまなメリットを期待できます。 

脱炭素経営に取り組むなら、ぜひ「ゼロ炭素ポート」をご活用ください。ゼロ炭素ポートは、脱炭素の未来を作る人々をサポートすることを目的としたポータルサイトです。脱炭素に関するコラム記事やCO2排出量の計算ツールなど、さまざまなコンテンツを提供しています。自社のみならず他社ソリューションとも協力し、脱炭素に取り組むお客さまのニーズにお応えするサイトです。 

脱炭素やカーボンニュートラルに関するご相談も受け付けているので、まずはお気軽にお問い合わせください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA