ゼロ炭素ポート

脱炭素技術の現状と企業が抱える課題とは?脱炭素の重要性と取り組み例も解説

作成者: 大塚勝臣(おおつかかつおみ)|2024年11月19日

地球温暖化は、世界中で取り組まなければならない問題です。近年、地球温暖化の解決策として「脱炭素」が世界的に推進されています。脱炭素の実現には、脱炭素技術の開発や発展も必要であり、さまざまな企業が開発に取り組んでいる状況です。この記事では、脱炭素技術の必要性や現状、企業が解決すべき課題、実践されている取り組みなどを解説します。

脱炭素技術とはどんな技術?

地球温暖化は世界中で問題視されており、解決策の1つである「脱炭素」は世界的にも注目されています。脱炭素の実現に向けて活躍が期待される脱炭素技術は、多くの企業が成長戦略の一環として開発に取り組んでいます。脱炭素実現に向けて大きく前進するためにも、脱炭素技術の進歩が欠かせません。 

脱炭素技術の発展が重要視されている背景

脱炭素技術の発展が重要視されるようになった背景は、以下のとおりです。 

地球温暖化の深刻化

地球温暖化が深刻化するにつれて、世界の平均気温の上昇による気候変動や異常気象、自然災害の増加などが問題視されています。このまま地球温暖化が続けば、より地球の環境が悪化してしまい、人間が住めなくなる地域が出現する可能性もあるでしょう。 

地球温暖化防止のためには、脱炭素が欠かせない要素であり、早急に取り組みを進める必要があります。脱炭素技術の発展は世界的に急務ともいえるでしょう。 

SDGsの推進

地球温暖化などをはじめとする世界的な問題や課題を解決するために、国連サミットで国際的な17の目標を掲げる「SDGs(エスディージーズ)」が発表されました。SDGsは、持続可能な社会の実現のために世界各国が取り組むべき目標であり、脱炭素社会の実現も対策の1つです。国や企業も積極的に取り組むことが求められています。 

※参考:SDGsとは?|外務省 
※参考:SDGsってなんだろう? | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会) (unicef.or.jp)

再生可能エネルギー活用の促進 

温室効果ガスは、石炭や石油などの化石燃料を燃焼させた際に発生するため、ほかの資源へ移行することによって温室効果ガスの削減が期待されています。そのなかでも、持続可能なエネルギーとして注目されているのが再生可能エネルギーです。 

再生可能エネルギーとは、「太陽光」「風力」「地熱」など自然界に常に存在するエネルギーです。再生可能エネルギーの活用を目指した技術革新が進められています。 

グリーン成長戦略の策定 

2020年に、国の産業政策として「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定されました。グリーン成長戦略の策定は、脱炭素技術などの脱炭素に関して成長が期待されている14の分野を示しており、積極的な支援を行うことが示されています。 

脱炭素に欠かせない分野を担う企業では、これからの時代を生き残っていくためにも、脱炭素技術の開発や活用が必要不可欠です。 

※参考:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略|経済産業省 

脱炭素実現に関する国内企業の課題

脱炭素実現のために、国内企業や各家庭の課題として挙げられている内容は、以下のとおりです。

CO2排出量の削減 

日本におけるCO2排出量のほとんどが、燃料を燃焼したときに発生する温室効果ガスであるエネルギー起源です。エネルギー起源の排出は、産業と運輸業で占める割合が多いため、削減が求められています。日本全体のCO2排出量を削減するためには、各企業がそれぞれ脱炭素に向けた取り組みを実施すると同時に、減らしていく努力も必要です。 

化石燃料への依存

脱炭素化が必要とされている昨今でも、いまだに「石油」「石炭」「天然ガス」など、有限な資源である化石燃料に依存している業種や業界は多いのが現状です。水素エネルギーの活用、エコカーへの推進、持続可能なエネルギーへの移行など、さまざまな取り組みが実施されていますが、数値的な実績が十分とはいえません。 

各家庭への呼びかけ

温室効果ガスは家庭からも多く排出されているため、各家庭への呼びかけも必要です。家庭でも脱炭素に向けた取り組みができるように、企業にはエコ家電の開発や省エネ対策の呼びかけが求められています。 

家庭で出るプラスチックごみの削減などは、商品を提供する企業側の力も必要です。また、各家庭が再生可能エネルギー電力への切り替えを行いたいと思っても、提供している企業がなければ実現できません。各家庭に脱炭素化を促すには、国の力のみならず、企業の力も必要になります。 

注目されている新しい脱炭素技術

ここでは、近年注目されている、新しい4つの脱炭素技術を解説します。 

再生可能エネルギーを使った電力供給 

火力、水力、風力などの自然エネルギーを活用して電力供給する技術は発展しています。昨今では、水素発電や食用油を使ったバイオ燃料の活用など、新しい自然エネルギーの活用も話題です。脱炭素社会やカーボンニュートラルを実現するためにも、世界的に再生可能エネルギーを使った電力供給が進められており、技術の開発が進んでいます。 

カーボンリサイクルの技術

温室効果ガスによる環境への影響を抑え、循環型社会をつくっていくための技術である「カーボンリサイクル」も注目を集めています。さまざまな場面で排出されるCO2を資源とし、エネルギー源として活用していく技術です。グリーン成長戦略でも、キーテクノロジーとして位置づけられています。 

CCUS技術 

CCUS技術とは、工場などから排出されるCO2を発生時に回収し、悪影響が出ないように管理する技術です。排気ガスからCO2を分離して排出前に回収するため、環境に配慮した技術として注目されています。CO2排出量の削減が大きな課題となっている昨今では、CCUS技術の発展が課題解決に寄与すると期待されています。 

メタネーション技術

メタネーション技術とは、CO2と水素から、天然ガスの主な成分であるメタンを合成する技術です。メタンは都市ガスなどで使われている天然ガスの主な成分ともなるため、CO2の再利用ができる技術として注目されています。 

メタン燃焼時に発生するCO2を回収して再利用できれば、発生するCO2と回収したCO2が相殺されてCO2の排出量を削減できるため、カーボンニュートラルの実現により近づくでしょう。 

脱炭素実現のために期待されている企業の取り組み 

ここでは、脱炭素実現のために、企業に期待されている技術や戦略などの取り組みを紹介します。 

テクノロジーを用いた脱炭素技術の開発 

脱炭素社会を実現させるためには、テクノロジーを活用して新しい脱炭素技術を開発することが重要です。また、IT技術を活用すれば直接的ではなくても温室効果ガス削減につながるため、企業での導入推進が期待されています。 

たとえば、昨今普及しているリモートワークは、出勤のために公共交通機関や自家用車を利用しなくなるため、温室効果ガス削減につながります。ペーパーレスの推進も、間接的に温室効果ガス削減につながるので効果的です。 

脱炭素戦略や目標の開示 

脱炭素社会の実現のためだけでなく、持続的な経営をしていくための手段として「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」も注目されています。TCFDとは、気候変動に対して企業の対応状況の開示を推奨している国際的な組織です。 

近年は、企業に対して環境への配慮が求められている傾向にあります。企業側は持続的な経営のためにも、脱炭素戦略や目標の開示が欠かせません。 

エネルギーミックスへの切り替え 

エネルギーミックスとは、温室効果ガスの排出量が大きい従来の化石燃料などのエネルギー源を、徐々に自然エネルギーへ切り替えてCO2排出量を抑えようとする取り組みです。 

2023年に自然エネルギー財団が「2035年までに電力の80%以上を自然エネルギーで供給する」という提言を出しており、各企業の協力も必要不可欠となっています。最初から100%再生可能エネルギーに転換するのは困難です。安定性のある従来のエネルギーを補助的に活用しながら、排出量を徐々に減らしていくことが求められています。 

※参考:脱炭素へのエネルギー転換シナリオ:2035年自然エネルギー電力80%を軸に|公益財団法人 自然エネルギー財団 

森林保全や植林プロジェクト 

本来、自然に発生するCO2は、植物などが吸収して酸素に変換することで成り立っていました。しかし、人間活動によって森林伐採が多く行われたり、CO2の排出量が増加したりすることによって地球温暖化が加速しています。 

日本は森林が多い国の1つではあるものの、手入れが行き届いていない森林も多く、脱炭素効果が低くなっているのが現状です。適切な森林管理ができれば、脱炭素社会の実現に貢献するともいわれているため、CO2排出量の抑制とともに、森林保全や植林にも力を入れる企業が増えています。 

まとめ 

脱炭素技術の開発と発展は、地球温暖化対策として不可欠であり、企業や家庭、政府が一体となった取り組みが重要です。新しい技術や戦略の導入により、脱炭素社会の実現に向けた動きが加速しています。 

しかし、脱炭素に向けた取り組みをしたいけれど、導入方法が分からないという企業も多いでしょう。「ゼロ炭素ポート」は、脱炭素の情報発信や脱炭素についての悩みを気軽に相談できる「場」を目指しています。脱炭素に関する相談も可能です。脱炭素ソリューションの資料をダウンロードできるので、ぜひご活用ください。 

執筆者プロフィール

会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA