脱炭素を進めるには、これまで主流となっていた化石燃料(化石エネルギー)から、二酸化炭素を排出しない、もしくは排出量が少ないエネルギーへと切り替えることが必要不可欠です。本記事では、脱炭素への貢献が期待される再生可能エネルギーなどの非化石エネルギーや、研究開発が進む新しいエネルギーについて解説します。
脱炭素とは、産業活動や日常生活から排出される温室効果ガスについて、排出量と吸収量・回収量とのバランスを取り、実質的な排出をゼロにすることです。脱炭素とカーボンニュートラルは、ほぼ同じ意味合いで用いられています。ただし、脱炭素という表現は、温室効果ガス全般ではなく、二酸化炭素に特化した内容で使用される場合があります。
脱炭素に新しいエネルギーの普及・開発が必要な理由は、温室効果ガスの大部分を二酸化炭素が占めているためです。二酸化炭素は主に、石油や石炭などの化石エネルギーを燃焼させる過程で発生します。二酸化炭素の排出量を防ぐためには、広く普及している化石エネルギーに変わる、新たなエネルギーの普及・開発が必要です。
2022年度における国内のエネルギー消費構造を見ると、化石エネルギー依存度が約83.4%という結果でした。化石エネルギーの消費割合は、1990年度以降、おおむね80%台前半で推移しています。2011年の東日本大震災後には、原子力発電所の運転停止に伴い、一時的に消費割合は上昇しました。しかし、以降は段階的に従来の水準へと収束しています。
※参考:令和4年度(2022年度)における エネルギー需給実績(確報)|資源エネルギー庁
ここでは、脱炭素に貢献する非化石エネルギー・再生可能エネルギーについて、活用のメリットと課題に触れつつ解説します。
原子力発電は、ウランやプルトニウムなどが核分裂過程で生じるエネルギーを活用して、電気を生み出す仕組みです。原子力発電のメリットは、気象条件に左右されず安定的に大量の電気を供給できる点です。
一方で、万一の事故発生時には、原子力発電設備周辺への深刻な影響が懸念されます。また、発電後の廃棄物処理問題も原子力発電の課題といえます。
太陽の光エネルギーは、電気エネルギーに変換可能です。太陽光パネルは、工場や倉庫の屋上など、既存の建築物を活用して設置できます。また、災害時の非常用電源としても使えるため、分散型電源としても太陽光発電は効果的です。
需要が高まる太陽光発電ですが、大規模な発電設備の建設時に森林伐採を伴うケースもあり、環境への影響が懸念されています。また、発電量が天候や日照時間に大きく左右されるため、安定供給のためには蓄電システムと組み合わせる必要があります。
河川や用水路などの水の流れが持つエネルギーを利用すると、水力発電が可能です。日本の地形は高低差に恵まれており、水力を活用して効率よく発電できます。また、一度発電設備を建設すれば、長期間にわたって安定した発電が期待できます。 一方、新規の水力発電設備の建設には多額の初期投資が必要となり、適地の確保も容易ではありません
風のエネルギーを活用する風力発電は、太陽光発電とは異なり夜間でも稼働します。広大な海域を有効活用できる洋上風力は発電効率も高く、今後の成長が期待されています。
一方で、風力は自然条件に依存するため、電力の安定供給には課題があるといわざるを得ません。また、景観への影響や環境保全の観点から、陸上風力発電設備の建設地確保は難しくなりがちです。
地熱発電は、マグマの熱で温められた地下水が生み出す、蒸気のエネルギーを利用する発電方式です。太陽光や風力とは異なり、地熱発電は気象条件の影響を受けにくく、昼夜を問わず安定して発電できるメリットがあります。火山国である日本は地熱資源が豊富で、地熱の活用が期待されています。
しかし、地熱発電設備を建設する際は、地下の状態を詳しく調査しなくてはいけません。調査にかかる相当な時間と費用が、地熱活用の課題となっています。
生物由来の資源を活用するバイオマス発電には、材料を直接燃やして発電する方式と、発酵させて取り出したガスをエネルギーとして発電する方式があります。バイオマス発電は、木材の廃材や生ゴミ、家畜の糞尿など、さまざまな廃棄物をエネルギーとして再利用できます。また、天候に影響されることなく安定した発電が可能です。
ただし、原料となる生物資源は広い地域に分散して存在するため、収集や発電設備までの運搬にかかる費用が、普及への課題となっています。
脱炭素に向けて、さまざまな新エネルギーの実用化に期待が寄せられています。以下では、特に注目されるエネルギーについて解説します。
海の持つ多様なエネルギーを電力に変換する海洋発電には、波の力を利用する波力発電、潮の流れを活用する潮力発電、表層水と深層水の温度差を利用する海洋温度差発電などがあります。四方を海に囲まれた日本は、発電に適した広大な海域を有しています。天候の影響を受けにくく、比較的安定した発電が期待できる点も海洋発電の魅力です。
一方で、塩分を含む過酷な海洋環境下では設備の腐食や劣化が進みやすく、設置による海洋生物への影響も懸念されています。
水素は、ガスタービンで発電する方式、水蒸気でタービンを回す汽力発電、化学反応を利用する燃料電池など、複数の発電方式に対応できる柔軟性を持っています。しかも、液化により体積を大幅に縮小できる水素は、効率的な輸送や貯蔵も可能です。
ただし、現状では水素の製造過程で化石エネルギーを使用するケースも多く、その場合は二酸化炭素が排出されてしまうという課題があります。将来的には、再生可能エネルギーを活用した、環境負荷の少ない水素製造方法の確立が期待されています。
アンモニアをエネルギーとする発電方式は、脱炭素化への有力な選択肢として注目されています。既存の火力発電所の設備を活用できるため、新規の設備投資を抑えられます。また、水素と比べると、アンモニアは輸送にかかる費用も安価です。
一方で、アンモニアの燃焼時には、大気汚染の原因となる窒素酸化物(NOx)が発生します。加えて、現状のアンモニア生成過程では化石エネルギーを使用するケースが多く、二酸化炭素が排出される場合があります。
Sustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)の略称であるSAFは、廃食油や廃プラスチックなどを原料として製造される、次世代の航空機用燃料です。SAFは従来の化石エネルギーのジェット燃料と同様の性質を持つため、既存の航空機や給油設備をそのまま使用できます。
ただし、SAFの製造工程は複雑で設備投資も必要です。従来の航空燃料と比べて製造費用が高額になってしまうことが、普及への課題となっています。
脱炭素に向け、国や企業が進めるエネルギー転換や省エネの取り組みを解説します。
輸送・物流関連における脱炭素化は着実に進展しており、特に自動車分野では電気自動車(EV)、ゼロエミッション車両(ZEV)の導入が加速しています。航空分野においてもSAFの実用化が始まっており、バイオマスや水素などへのエネルギー転換も期待されています。
建築分野における脱炭素に向けた取り組みとして、建物の断熱性能を高める工夫が進行中です。壁材や窓、屋根などに最新の断熱技術を採用すると、冷暖房効率の高まりにより脱炭素化に貢献できます。さらに、省エネ設備や太陽光パネルの設置など、建物自体のエネルギー効率を高める施策も広がりを見せています。
ています。同社が採用する薄型軽量パネルは、従来は構造上の制約から設置が困難とされてきた屋根でも活用可能です。200平方メートルからと、比較的小規模な面積でも導入できる点も特徴的です。
さらに、初期投資が不要で、設置後の運用費用や保守点検、故障時の対応費用も発生しません。費用面での負担を大幅に軽減しつつ、太陽光発電を導入できる仕組みとなっています。
国内のエネルギー消費において化石エネルギーの占める割合は依然として高く、脱炭素化への大きな課題となっています。脱炭素の実現に向け、化石エネルギーから、再生可能エネルギーをはじめとする非化石エネルギーへの転換が必要です。また、新エネルギーの実用化も研究開発が進められています。
ゼロ炭素ポートは、自社のサービスだけではなく他社のソリューションも含めて、お客さまの脱炭素への取り組みを総合的にサポートするサイトです。脱炭素に向けた取り組みを進めるためにも、ぜひゼロ炭素ポートをご活用ください。
会社名:東京瓦斯株式会社
部署名:ソリューション事業創造部
執筆者名:大塚勝臣(おおつかかつおみ)
執筆者の略歴(職務経歴、保有資格、受賞歴など):
1992 年入社以来、様々な形で省エネ・脱炭素ソリューションの導入に関わる。
一級建築士
一級管工事施工管理技士
MBA