最初に「JoyCoMES Re」が導入・利用されたのは製品製造部門。原料加工部門において乾燥やカット、風味付けなどの段階を経て「刻」と呼ばれる状態になったたばこの葉を受取り、銘柄ごとに紙巻、パッケージングなどによって製品の形に仕上げる最終工程を担当する。その製品製造を担う機械設備の運転日誌電子化を「JoyCoMES Re」が担う。製造計画に基づいて稼働する機械は約20台、機械1台について1日あたり1枚の日報が作成される。「一台の稼働に3人程度の人間が必要となり、それが1日3シフトあります。毎日およそ200人が運転日誌を入力したり、閲覧しています。従来はExcelで作成した運転日誌のフォームをプリントアウトし、紙ベースで各担当者が記入していました。さらに、それを集約して運転日誌データベースにインプットする作業も別途必要でした」とDX化推進プロジェクトチームのメンバーで製品製造担当の高下氏は話す。紙ベースの運転日誌からローカルのExcelファイルに必要なデータを転記し、それをシステムにアップロードしてデータベースに入力していたという。
そこで「JoyCoMES Re」を導入し、運転日誌帳票はタブレットで表示、入力、提出できるようにした。製品製造部門では機械一台に対して3台、合計60台のタブレットを用意した。
『JoyCoMES Re』を本格的に運用し始めたのは2022年くらいからです。もともとの紙帳票はExcelでフォームを作成していましたし、『JoyCoMES Re』の帳票はExcelが使える人なら誰でも作れるので特にトレーニングを受けなくても電子化できました。現場での記入や閲覧はタブレット端末で行います。運転日誌は次長の承認が必要ですが、現況では『JoyCoMES Re』の承認機能はまだ使用していません。『JoyCoMES Re』の承認機能を使えばさらに効率化するかもしれませんが、現段階でも運転日誌を手動で集約してシステムに入れていた手間は大幅に軽減できています」と高下氏は続けた。
その他に「銘柄切替チェックシート」の電子化が現在進行中だという。日本たばこ産業株式会社が扱うたばこはブランドとして10数種類。さらに繊細な風味などのバリエーションがあり、総銘柄数は100を超える。製造計画に従ってラインを流れる銘柄を切り替えていく際に、間違いなく管理、設定していくことが重要だ。その際に正確に作業するために使用されるのが「銘柄切替チェックシート」。これには「JoyCoMES Re」の承認機能も利用する予定だ。
「当面10種類くらいの帳票電子化を具体的に考えています。例えば1台1台の機械の設定値の変更点を記録しておく『設定値帳票』も作ろうと考えています。ロングサイズ、ショートサイズなどの紙巻のサイズ規格による設定変更やメンソール入りなどで配合を変えたり、同じ銘柄でも気象条件や原材料の状態で設定を変えることがあるのでそれらを記録し、履歴を管理していくための帳票です。また、現在はExcelの中で帳票を作成・管理している機械設備のメンテナンス計画も『JoyCoMES Re』に移行したいですね。各設備ごと、パーツごとののメンテナンスについて、適正な間隔で実施し、内容を記録する目的です。『JoyCoMES Re』で電子化することによって検索、閲覧がしやすくなりますから生産の効率化にも品質管理にも貢献できると思います」と高下氏は話す。現在は手順書を見て自分たちで作っているが、今後帳票電子化や各業務システムとの連携を進めるにあたってはサポートからの提案や情報にも期待しているという。
以前は、原料加工部門で処理されたたばこに何かしらの問題が生じた際に、そのたばこがいつ、どの製品製造機械で使用され、最終製品がどこに存在しているのかを確認するために、製品製造の膨大な帳票を都度めくって調べていたという。「そうした状況も踏まえ、DX化推進の中で将来の工場生産のあり方を考え、取り組んできました。その一環として、品質管理チームとしてはトレーサビリティシステムの中に運転日誌などのデータを全部入れたいと考えていました。そこで製品製造の関連の『JoyCoMES Re』で入力したデータをシステム内で繋がるように設計しています。『JoyCoMES Re』による帳票電子化はまだ始まったばかりですが、すでに特定のロットの原料を使った製品がどこに発送されたかまでを1つなぎで知ることができるようになりました」と中嶋氏は続けた。
日本たばこ産業関西工場では製品製造、原料加工、品質管理各々の持つデータを繋げ、そこに製品製造部門に導入された「JoyCoMES Re」が連携することで、トレーサビリティをさらに進化させることに成功した。「今年中には、当時構想していた工場生産のあるべき形を実現できると思います」と中嶋氏は胸を張った。